日本の評判

世界は日本をどう見ているか。 英語と中国語のメディアから日本に関する記事をとりあげ、考えます。

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日本に「思想警察」はあるか

ワシントンポストが27日付で Steven Clemons による「日本の思想警察の台頭」という記事を載せています。相当に偏った見方をしていますが、それは後で明らかにします。


それは政治かかわる人々のどこにでもある取るに足らない争いのように演じられた。しかし、採用すべきナショナリズムの形を模索している国日本で、著名な新聞論説委員と首相の外交政策シンクタンク編集者の言葉の戦いには警告以上の意味がある。それは公的人物を脅迫する右翼の活動における最新の攻撃で、言論の自由を押しつぶし市民社会を後戻りさせるよう脅かすものだ。

8月12日、古森義久--ワシントンを本拠とする超保守産経新聞の論説委員--は日本国際問題研究所が運営するオンラインジャーナル「コメンタリー」の編集者玉本偉(たまもとまさる)の記事を攻撃した。その記事は、対中脅威論の煽り立てや、戦死者を祀る靖国神社への中国の抗議を無視しての参拝に表れたような日本の新しい声高な“タカ派ナショナリズム”の台頭に懸念を表明するものだった。古森はそれを「反日」と決め付け、主な執筆者を「極左知識人」と攻撃した。

しかし彼はそこにとどまらない。古森は、第二次大戦の戦犯を祀る靖国神社への中国の抗議を無視しての参拝に疑問を呈した執筆者を税金を使って支持したことを謝罪するよう研究所の所長佐藤行雄に要求した。

驚いたことに、佐藤はそれに応じた。24時間以内に彼は「コメンタリー」を閉鎖し、サイトの過去の掲載記事--「コメンタリー」が外交政策と国家アイデンティティ確立についての率直な討論の場であるとする彼自身の文章を含む--をすべて削除した。佐藤はまた先週産経の編集部に手紙を出して許しを乞い、「コメンタリー」編集部の完全な見直しを約束した。

息を呑むような屈服だ。しかし、日本を覆いつくす政治的雰囲気を考えれば驚くほどのことでもない。最近のナショナリズムの台頭に勢いづけられ、1930年代型の軍国主義と天皇崇拝と“思想統制”への回帰を熱望する暴力的な極右活動家グループが、更なる主流の中へと移動を始めた--そして別の考え方をする人々を攻撃し始めた。

つい先週、そのような過激派が、かつての首相候補加藤紘一の実家を放火した。彼は今年小泉の参拝を批判していた。数年前、小林“トニー”陽太郎富士ゼロックスCEO兼会長も、小泉は靖国参拝をやめるべきだと意見を表明した後、手製爆弾の標的になった。爆弾は取り除かれたが、小林は殺しの脅迫を受け続けている。圧力は効果があった。彼が率いている大きな経済団体は小泉が中国に対してタカ派であることと、靖国を参拝することへの批判を取り下げた。小林は今ボディガードつきで移動する。

2003年、当時の外務審議官田中均は自宅で時限爆弾を発見した。彼は北朝鮮に対して弱腰だとして標的にされた。保守派東京都知事石原慎太郎は演説で、田中は「当然の報いを受けた」と言った。

自由な思想が脅迫を受けたもう一つの例は、国際的名声のある岩男寿美子慶応大学名誉教授の件だ。2月、日本人の大部分は女性の皇位継承を受け入れる用意があると示唆する記事の発表後、右翼の活動家が彼女を脅迫した。彼女は記事を撤回し、今は姿を隠していると伝えられる。

このような過激派は憂うべき過去の記憶を呼び覚ます。1932年5月、日本の犬養毅首相は、満州における中国主権を承認し、議会制民主主義を頑強に擁護する彼の立場に反対する右翼活動家のグループに暗殺された。第二次大戦後右翼狂信者は影に潜んだが、日本の国家アイデンティティや戦争責任や天皇制に関する敏感な問題について禁忌に触れるような率直過ぎる発言をした人には時折脅迫してきた。

今日の右翼による脅迫で警戒すべき重要な点は、それが効果を表していること、メディアにおいて呼応する動きがあることだ。産経の古森は最近の活動をしでかした者たちに直接の関係はない。しかし古森は自分の言葉が彼らを刺激し、彼らが討論を押さえつけることを助けることで、彼らの行動が今度は自分の発言に恐怖に裏打ちされた力を与えていることに気づいていないわけではない。さらに悪いのは、日本の現首相も来月の総裁選で後を継ぐことになりそうな安倍晋三も、日本の指導的な立場にいる穏健派の言論の自由を圧殺しようとする試みをなんら非難していないことだ。

さらに多くの脅迫の事例がある。過去数日、私は何十人もの日本の一流の学者、ジャーナリスト、官僚と話しをした。彼らの多くはあれやこれやの出来事を公にしないでくれと私に頼んだ。右翼からの暴力や嫌がらせがあるからだ。ある一流政治評論家は私に書いた。「右翼が私の書いたものを読んでさらなる嫌がらせをしようと待ち構えているのを知っている。こんな者たちのために時間や労力を浪費したくない。」

日本はナショナリズムを必要としている。しかしそれは健全なナショナリズムだ。この国の名士たちの意見表明を抑えつけるようなタカ派の金切り声のナショナリズムではない。


テロの恐怖が政治や言論の世界を覆い、政治の方向性まで決定づけてしまうとしたら恐ろしいことで、確かに座視できない問題だ。しかしこの記事には明らかな嘘と誇張がある。

政府に属する機関が発行している刊行物が政府批判を行っているとしたら自己矛盾もはなはだしいことで、税金の無駄遣いだとして批判されるのは当然だ。執筆者や編集者は、批判があるならまず政府関係者に直接進言すべきで、聞き入れられないのなら抗議の辞任をして民間の自由な立場から政府を批判するべきだ。日本ではそれが許されている。だから日本国際問題研究所(JIIA)が批判を受けて記事を取り下げたのは何も驚くべきことではない。驚くべきなのはむしろJIIAがそのような記事を載せたことのほうだ。

さらに私が驚いたのは、clemons氏が古森氏の記事を指して、
「公的人物を脅迫する右翼の活動における最新の攻撃で、言論の自由を押しつぶし市民社会を後戻りさせるよう脅かすものだ。」
と攻撃したことだ。新聞紙上での言論活動をまるで過激派のテロ行為であるかのように言う。

後半で彼は次のように若干の修正をしている。
「産経の古森は最近の行動をしでかした者たちに直接の関係はない。しかし古森は自分の言葉が彼らを刺激し、彼らが討論を押さえつけることを助けることで、彼らの行動が今度は自分の発言に恐怖に裏打ちされた力を与えていることに気づいていないわけではない。」
しかしここでもやはり、古森氏と右翼テロリストがあたかも暗黙裡の共犯関係にあるかのように論じている。Clemons氏は両者に直接の関係はないと言うが、間接的な関係も非常に薄いだろう。古森氏の思想に右翼テロリストのそれと一部共通するところがあったとしてもそれは彼の責任ではない。彼は新聞紙上で暴力や脅迫行為を教唆したわけではない。古森氏と産経新聞はこの暴論に対してClemons氏とワシントンポストに抗議して謝罪を要求すべきだ。

民間の言論機関が政府に属する組織を批判し、政府側がそれを妥当と認めて行いを正すことは民主主義が健全に機能していることの証左であり、その逆ではない。このワシントンポストの記事は“思想警察”と題されているが、それは政府が民間の思想を弾圧するための権力装置であり、Clemons氏が「最新の攻撃」としてあげた事例とはまったくの逆である。今のところ日本が思想統制社会に移行する兆しはない。

記事の中で繰り返し取り上げられているのは狂信者による暴力・脅迫事件であり、政府による思想統制とは別のものだ。彼もそのことに気づいている。だから次のように詭弁を用いて両者間に橋をかけようと試みている。
「最近のナショナリズムの台頭に勢いづけられ、1930年代型の軍国主義と天皇崇拝と“思想統制”への回帰を熱望する暴力的な極左活動家グループが、更なる主流の中へと移動を始めた--そして別の考え方をする人々を攻撃し始めた。」
思想統制を熱望する右翼が主流に向かって移動を始めていると言いながら、何の具体的な事例も証拠も挙げていない。ただの自分勝手な印象なんだろう。主流と言うからには政治的に有力な人物の名を挙げなければいけないはずだが。

この記事には、1930年代に思想統制とテロが同時に横行したことを取り上げて両者を混同させようとしている気配がある。彼らはこのようにして嘘をつく。断片的事例を自分の書いたシナリオに合わせてつなぎ合わせる。影響力のあるアメリカの新聞だから、やがてその結論がひとり歩きを始める。


産経新聞の古森氏の記事は日本戦略研究所で読めます

ワシントンポストはまた同じ27日付で「日本の歴史問題」への反論か?でも取り上げた記事の執筆者ウィル氏による「日本の軍隊を解き放て」という記事も載せています。ウィル氏はそこで日本が憲法を改正して“普通の国”になることを支持しています。

なるほど!と思った方、ふ~んそう?と思った方も
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  1. 2006/08/29(火) 23:19:00|
  2. 日本社会
  3. | トラックバック:2
  4. | コメント:5
<<“言論統制” | ホーム | 中国人?Sonagi 氏へ反論>>

コメント

これぞワシントン・ポスト

管理人さんこんにちは。
先日俎上に上がっていたウィル氏のコラムは、これがあの反日で鳴らしたワシントン・ポストの記事かと違和感を覚えるものでしたが、このスティーブン・クレモンス氏の記事は、実にかの新聞社らしい内容ですね(笑)。悪意で着色された色眼鏡を通し、産経の特派員が、政府系シンクタンクの異常な反日宣伝を糾したことについて、言論弾圧であると断じています。彼らは、例えば米国系シンクタンクが自国を断罪する活動を為したのならば、いかなる報道をするでしょうか?。NY・タイムズ然り、CNNまた然りです。己を棚に上げる独善性は、いかにもなアングロサクソン気質。怒りや呆れより先に、失笑が零れてくる。
私は知りませんでしたが、問題の論文を著したのは「玉本 偉」なる、その筋では知る人ぞ知る左翼学者だそうですが、最初この人物の名前を見た際、「玉 本偉」に見間違えました(笑)。しかし、一般人ならいざ知らず、この日本国際問題研究所なるシンクタンクは玉本なる人物の“悪評”は聞き及んでいた筈、何故に英文の編集長として招聘したのか合点がゆきません。風聞では官僚組織の中にも、必ずしも政権の意向に従わず、独断専行する勢力があるやに申しますが、件の(JIIA)の所長、佐藤行雄も、そうした背反の徒なのでしょうか。だとしたら由々しき問題です。外務省のOBと云うことですが、日本の外交を一手に担う省庁の外郭団体がこの体たらくでは、我が国の先行きは暗い。W・ポストのような敵対的報道機関の、恣意的な反日プロパガンダを勢いづかせ、特亜に乗ぜられる事態も招来しかねません。
今回の一件では、産経特派員の毅然たる弾劾を賛えるとともに、W・ポストにみられる日本への悪意ある報道がなされたことを肝に銘じねばなりません。大戦前、蒋介石の対米戦略によって日本悪玉論が米国内に浸透し、それが遠因となって、巨大なアメリカと戦わざるを得なくなった苦い経験があります。同じ轍を踏まぬためにも、省庁及びその外郭団体の人選の洗い直しが必要かも知れませんね。「強い敵より恐ろしいのは、愚かな味方」などとも申しますが、高級官僚のようなエリート意識の強い馬鹿ほど、始末に終えぬものはありませんから。
  1. 2006/09/01(金) 15:47:04 |
  2. URL |
  3. 笑鬼 #-
  4. [ 編集]

はじめまして

朝日新聞の記事に呆れていたのですが、それどころではなかったのですね。大いに参考になりました、有り難うございます。私のページでもこちらの記事の紹介+1~2行の引用をしますので、ご了解ください、よろしく。
  1. 2006/09/11(月) 02:42:21 |
  2. URL |
  3. 練馬のんべ #.GslOXVU
  4. [ 編集]

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  1. 2006/09/19(火) 05:33:56 |
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  3. #
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  1. 2006/10/10(火) 16:35:05 |
  2. |
  3. #
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http://www.shimpu.jp/
『維新政党新風』公式サイト

http://koushin.gr.jp/
『日本公進党』公式サイト

こんな政党もありますよ。

見る価値あり!です。
  1. 2006/12/28(木) 14:14:26 |
  2. URL |
  3. 小波 #j7kPgX2Q
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反日で連携する朝日とワシントン・ポスト

一昨日のエントリー「売国外務省と朝日の難癖」で、私は以下のことを書いた。外務省の外郭団体である日本国際問題研究所の英文編集長・玉本偉氏が、「日本はいかに中国を想像し、自国を見ているか」という「反日論文」を海外に向かってリリースしたこと。この事実に、産経新
  1. 2006/09/10(日) 18:20:56 |
  2. 依存症の独り言

外務省の関係団体がウルトラ反日論文

朝日新聞サマと外務省サマはほんと素晴らしい。毎日ブログネタの宝庫。足を向けて眠れ
  1. 2006/09/11(月) 02:53:27 |
  2. 家族がいちばん
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