日本の評判

世界は日本をどう見ているか。 英語と中国語のメディアから日本に関する記事をとりあげ、考えます。

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「日本の歴史問題」への反論か?

前回、「日本の歴史問題」を書いたアイケンベリーは無邪気で世間知らずだと言いましたが、それは彼が小泉さんの靖国参拝にばかりこだわって、中国の政治的意図については何も問題にしていないからです。
ドイツを見習って近隣諸国を安心させてEUのような組織を作れといっても、中国のような膨張主義的独裁国家を相手にしては土台無理な話です。日本とドイツでは周りの環境が違うんです。
安倍晋三の中国孤立化連合は是か非かもあわせて読んで下さい。)

「日本の歴史問題」を掲載した同じワシントンポストが、20日付で「日本の死者の安らかならざる眠り」という記事を載せました。
これは、中国を好戦的な共産主義政権と呼んでいるように、一部私の気持ちを代弁してくれるような記事です。(全面的に賛成できるわけではありませんが)
そして「日本の歴史問題」に対して反論するような形になっています。


過去はどこにでも存在する。しかし日本は異常なまでに過去に付きまとわれた国だ。日本以外どこででも冷戦は過去形で語られる。しかし、日本の隣近所には二つの共産主義政権--好戦的な中国と奇矯な北朝鮮--があり危険である。日本にとってベルリンの壁の崩壊はひとつの時代の終わりではなかった。第二次大戦でさえ町の真ん中にある神道神社のために政治問題として語られる。

戦争中に日本を離れる若い兵士たちはしばしばこのように言っただろう。「俺がもし帰ってこなければ靖国で会おう。」日本の250万の戦死者の魂はその神社に存在していると信じられている。1978年、14の別の魂がそこに祀られた--14人のA級戦犯の魂である。

その合祀から1984年までの間、3人の首相が20回靖国に参拝したが、中国が抗議することはなかった。しかし日本の最も重要な東アジアの隣国、中国と韓国は今、ある部分、日本の1910年から45年の軍国主義の被害者としての経験から国家のアイデンティティを形成した。そのような国家アイデンティティは相当程度まで政治的な選択だ。[斜字も原文のまま]

左翼イデオロギーにより、韓国政府は膨張主義の国家遺伝子をもつと想像されている日本に対する憤りと被害者意識を醸成する。中国の政権の選択はさらに興味深い。中国が極めて非マルクス的な方法で成長を成し遂げようとする中で、マルキシズムは破綻し、認識上の不協和音の原因になっている。そのため新たな正統性の源泉が必要になった中国政権は、それを日本帝国主義への抵抗の記憶に求めた。

実際には、中国の抗戦のほとんどは毛沢東の敵である蒋介石によってなされた。そして毛は、北京には彼のために設けられた一種の非宗教的な聖堂があるのだが、日本の野蛮な占領者よりも数百万多い中国人を殺した。

日本の小泉純一郎首相は定期的に神社を参拝することを公約し、実際にそうした。最近の参拝は第二次大戦の終戦記念日である先週の火曜日だ。ナショナリストの安倍晋三は来月退く小泉の後任になることがほぼ確実であるが、小泉の政策に近いものを継承するつもりがあるようだ。中国は日本の首相がなすことに指図するべきではないという小泉の論拠の少なくとも一つを支持して。

これはネルソン提督の火かき棒の原則だ。トラファルガーの前夜、部下と話しているとき火かき棒を手にとってネルソンは言った。「私がこれをどこに置こうともどうでもよい、ボナパルト[ナポレオン]がそこに置けと言いさえしなければ。その場合、私はほかのところに置かなければならない。」

靖国に隣接した博物館は言う。“大東亜戦争”がなぜ始まったかといえば、ニューディールが大不況を克服できなかったときに、「ルーズベルトに残された唯一の選択肢が資源の乏しい日本に禁輸措置をとって戦争に突き進むことを余儀なくさせることだったからだ。アメリカが戦争を始めるや、アメリカ経済は完全に回復した。」その説は不名誉なほど卑劣で--しかもどこかで聞いたことがある話だ。もう何年も、少数だが声高なアメリカ人の一団--狂信的な反ルーズベルト派--が同じようなことを言っていた。しかし小泉も安倍も参拝の際にその博物館を訪れていない。

安倍が靖国参拝をやめれば有益だ。彼は、1989年に亡くなった裕仁天皇が戦犯合祀に強く反対していたために参拝をやめたという先月知られるようになった事実を引くこともできる。中国が小泉の参拝に激怒すると決めたため、日中首脳会談はこの5年間なかった。2005年、中国では敵意に満ちた反日暴動があり、日本の国連常任理事国入りに反対するために4千4百万の中国人がインターネットで署名した。両国の関係は、毛が中国と日本の人民はともに日本軍国主義の被害者だと宣言した1972年以来最悪になった。

ことがいかに悪化しているかといえば、中国の潜水艦と軍用機による日本領海と領空への絶え間ない侵入について語る日本の高官が、不用意にも、中国の政権は戦前の日本のように軍を完全には統制していないと驚くべきことをほのめかしたほどだ。しかし外交以外の関係は盛んだ。中国はアメリカについで2番目に人気がある日本人の旅行先だ。1日1万人が両国を行き来している。そして2004年には、1945年以来初めて日本の対中貿易がアメリカよりも大きくなった。

アメリカ人は靖国論争に当惑すべきではない。アメリカには南部連邦旗[南北戦争時の=訳者注]の掲揚をめぐる比較的些細だがそれでもとげのある論争があるため、アメリカ人には国家の記憶の政治学がいかに論争を呼ぶものであるかがわかる。そして戦死者がそのために死ぬことになった大義を必ずしも崇めることなしに戦死者を祀ることの問題を理解している。


最後の段落、現代アメリカに残る「南北問題」については、最近麻生外相が言っていたことが参考になります。
南部出身のライス国務長官に会ったとき、南部では南北戦争について学校でどう教えていますかと聞いたら、あれは北部の侵略だと教えているという答えだったということです。
立場が違えば歴史についての見方も違っているもので、論争が起こるのも当たり前だということですね。

その次の文ですが、読んでわかるように訳せたか自信がないので補足しておきます。
これは、戦死者を祀るのはいいが、戦争の推進力となった当時の思想まで称賛するのはやめろといいたいんだと思います。


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テーマ:特定アジア - ジャンル:政治・経済

  1. 2006/08/20(日) 23:53:46|
  2. 日本外交
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2
<<靖国神社と南部連邦旗 | ホーム | 日本の歴史問題--ワシントンポスト>>

コメント

W・ポストではなく、産経の記事のようですね

管理人さんこんにちは。
この靖国を巡る日本と近隣諸国との見事な考察は、ジョージ・F・ウィルなる人物の手になる記事だそうですが、一体いかなる人物でしょうか。何分にも英語が不得手ゆえ、もどかしさを覚えます。
これまでの(そして現在も概ね変わらぬでありましょうが)米国人による対日観と云えば、ステレオタイプに思い込みをミックスした珍妙さに加え、モンゴロイドを十把一絡げにした不可思議な代物と相場が決まっておりましたが、まるで日本の保守系論客の分析の如く的確ですね。これが反日に血道を上げるワシントン・ポストの記事とは俄かに信じられぬ想いです。
さて、記事のベタ褒めはこのぐらいにして、中身については概ね首肯できますが、安倍氏が総裁になったとて、靖国参拝を手控えた方が得策とする見解には同意できない。ややもすれば、先般の日経がスクープした、先帝陛下がA級戦犯合祀に反対なされていたと云う一義を以って、多くの国民は今後の参拝を見送るべきと云う論に傾きがちです。しかしながら、先帝陛下が何故に公の場で大御心を開陳なされなかったのかを、推し量るべきと申さば不敬にあたりましょうか。終戦以来、至高の存在より象徴となられた昭和天皇は、ご自身のお立場を深くご理解されていた。即ち、政治に関わるやも知れぬ事柄には、影響力が大きすぎる故に黙して語らずの姿勢を貫かれた。その陛下のご意思を踏み躙り、政治利用しようとした日経を始めとする反日マスゴミの傲岸不遜ぶりには、瞋恚を禁じ得ません。
日本の報道各社には、己が政治信条を公共の電波や紙面に載せると云うことが、いかに驕慢であるのかを今一度、自身に問い直して貰いたいものです。
  1. 2006/08/22(火) 01:14:25 |
  2. URL |
  3. 笑鬼 #-
  4. [ 編集]

ジョージFウィルというのは

ワシントンポストのコラムニストですが、ウィキペディアによれば、レーガンの選挙に協力したこともある共和党支持の保守派のようです。とくに日本や中国の専門家というわけでもないらしいです。あちらのブログでは、彼が韓国大統領を左翼だと書いたことに引っ掛けて、あの記事を「右翼のたわごと」と切り捨てた人もいました。

私も安倍さんが参拝することを期待しています。
富田メモでしたか、あれを政治利用するのも賛成できません。小泉さんがあのときに言っていたことがもっともだと思います。
日経はやはり商売人の意見が反映されているんですかね。
  1. 2006/08/22(火) 22:37:50 |
  2. URL |
  3. 日評管理人 #-
  4. [ 編集]

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