日本の評判

世界は日本をどう見ているか。 英語と中国語のメディアから日本に関する記事をとりあげ、考えます。

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愚民をカラ喜びさせる中国の新聞

「なに、これ」と言いたくなります。

中国の「環球時報」のサイトで、「日本メディア: 恥知らずのスピルバーグとリチャード・ギア」という見出しを見つけたので、日本の新聞がそこまで中国べったりのことを書くのか?と不思議に思ってクリックしてみると、これは「日本時報」の記事でした。「日本時報」というのは英字紙「ジャパン・タイムズ」の中国語訳です。で、ジャパンタイムズのサイトで検索してみると、ありました。

What China and the world must do now 
(中国と世界が今しなければならないこと)

末尾を見るとUCLAのトム・プレート教授とあります。

つまりそれは日本のメディアとはいっても、おもに在日の外国人と一部の英語を勉強している日本人を読者とする、普通の日本人は読まない英字紙に掲載されたアメリカ人による論説なのですが、環球時報のその記事はそのことにはまったく触れておらず、ただ「日本メディア: 恥知らずのスピルバーグとリチャード・ギア」という見出しと、冒頭に次のようにあるだけです。解説も何もついていません。これでは誤解を招きそうです。

《日本時報》4月16日文章 原題: 中国と世界は今何をしなければならないか

以下は環球時報からの重訳です。

《日本時報》4月16日文章 原題: 中国と世界は今何をしなければならないか

最近チベットと2008年北京オリンピックの二つの問題において起こっている騒動に対して、中国に少しでも同情を示す欧米のメディアはひとつもない。しかし、バランスのとれた成熟した見方をしようとするなら、誰かがそれをやらなければならない。だから、我々が今そのような努力をするのがよい。

一般的にいって、西洋人(フランス大統領を含む)は、アメリカ人がテキサスをアメリカの領土だと見なしているのと同じように中国人がチベットをその領土の一部分だと見なしていることを理解していない。世論調査をして得られる結果は: 中国大陸だけではなく、中国香港や、中国台湾地区(※1)の中国人ででさえためらうことなくチベットは中国の一部分だと認識しているということ。これには街角の通行人ばかりではなく、著名な専門家や教授、ジャーナリストでさえも一致しているのである。

リチャード・ギアはアメリカの並みの俳優だが、同時に、チベット問題においては過激分子だ(※2)。彼は心のままにやりたいことができ言いたいことが言える。なぜなら、アメリカは人が言いたいことを何でも言える自由の国だからだ。

ダルフール問題を口実にして(※3)、アメリカの映画監督スティーブン・スピルバーグは2008年オリンピック開会式の芸術顧問を辞した。これもスピルバーグが彼の国でやりたいことが何でもできるからだ。しかし、この1993年《シンドラーのリスト》で正義を高唱した監督が(※4)、同時代の中国とナチスドイツを混同して区別しないとしたら、彼の歴史問題を比較する水準は彼の映画の才能に及ばない。

近年、中国はオリンピックのために勇敢な称賛されるべき努力をし、激烈な競争の中、公明正大にオリンピック開催権を獲得した。その後、中国は巨費を投じて世界で今までなかったようなすばらしいオリンピック会場を建造しただけでなく、北京のインフラ水準を向上させた。中国は世界に向かって最もよい面を示す機会を得た。

世界のスポーツ選手について言えば、彼らはオリンピックに参加するために何年もつらい訓練をしてきた。彼らは当然、抗議者に邪魔されることなく自己の運動能力を示す機会を得るべきだ。だから私から見て、ギアやスピルバーグらチベット問題上の過激分子(※5)がなしていることは、彼らの恥知らずで無礼で拙劣な時機選択を示している。


中国人にとってのチベットはアメリカ人にとってのテキサスのようなものだって? たとえテキサスがアメリカがメキシコから不当にぶんどったものだとしても、今のテキサスにはともかくダライラマが言うところの「文化的虐殺」の状況にあるわけではない。

イギリス人が「インドは日の沈まぬ大英帝国の不可分の一部である」と見なしていれば、インド人と世界の人はそれを理解しなければならないのだろうか。冗談ではない。

Tom Plate という人の文章は前にも 駐米韓国大使と安倍首相の謝罪を比較する でとりあげました。「なかなかいいことを言っている」と書いたんですが、今読み返してみると、そうとも言えないような気がします。だからあれは撤回します。


これは転載記事ですから英文を中国語に正確に訳さなければならないはずなんですが、そこはやはり中国の新聞、都合の悪いところは適当にごまかしてあります。

(※)を付したところは中文訳に疑問があるところです。重箱の隅をほじくりますから、面倒な方は-- --のところまでとばしてください。

(※1) 中国香港 中国台湾地区
原文ではただの  Hong Kong と Taiwan です。やり方がせこい!

(※2) 過激分子
原文では activist 「活動家」。

(※3) ダルフール問題を口実にして
原文は、over Beijing's alleged diplomatic shortages regarding Darfur
「ダルフールに関して北京政府の外交がいたらないと言われていることで」
「口実にして」というのはもとの中文では「借口」で、真の理由がほかにあるときに使う言葉ですが、英文の over にはそんな意味はありません。
スピルバーグはまさに中共政府のダルフールへの政策に抗議してやめたんです
shortages なんてかなり微温的な表現だと思いますが、少しでも批判的と思われる箇所は改竄し、「口実」という原文にない意味まで付け加えています。

(※4) 正義を高唱した監督
これは誤訳。原文は the justly acclaimed director 。
「正当にも称賛された監督」(監督は称賛されたが、確かに称賛されるに値する監督である)という意味。

(※5)過激分子
ここも原文では protesters (抗議者)です。「活動家」や「抗議者」などでは、何か正義のために抗議活動をしている人々という印象を与えるからまずいと考えたのでしょう。

-- --
これらは文章表現上でちょっとした改変を加えただけなんですが、じつはもっと重大なことがあります。

皆さんも変だと思っておられるのではないかと思います。
そうです。「中国と世界は今何をしなければならないか」と題された文章に、中国が今しなければならないことが書いてないんです!

じつは、この環球時報の記事には Japan Times の Tom Plate の論説の前半部分しか掲載されていないんです。

後半に中共が耳にしたくないことが書いてあったからでしょう。

では後半部分から、環球時報が国民の目に触れさせたくなかったところを抜き出しましょう。

中国は何年も前から、自治を高度化させることについてダライラマと礼儀にかなった協議をするように忠告されてきた。この老人は最悪の敵というにはほど遠い。彼とその仲間が求めているのは多かれ少なかれ中国が香港に与えた待遇にすぎない。そして香港への待遇(一国二制度、まさにあなたたちの小平のやり方)は実際立派に機能している。

中国がなすべきは、共産党流の高慢な態度を改めて、ダライラマ睨下にチベットの新たな自治について中国高官と協議するため訪問するようお願いすることだ。その協議には、ほかでもない中国のナンバーツーの温家宝を指名したい。この中国首相はほとんどいつも器用で繊細な外交を展開している。これが中国のこの問題への取り組みにいちばん欠けていることであって、どうしても必要とされていることだ。

中国は銃を突きつけられての交渉はこのまない。しかし、やかましい国際世論にさらされるというこの事態は、中国の敵と自分自身のドジが引き起こしたことだ。オリンピックの成功と自国の国際イメージを回復させるのは今からでも遅くない。しかし、温首相と胡錦濤主席がもしこの危機を解決したいと思うなら、まず自国の頭に血が上った排外主義者たちをコントロール下におくことだ。それができたら、世界は夏の間は黙って、オリンピックを盛大に開かせる必要がある。


環球時報のやり口を詰ったりプレートさんのノーテンキさにあきれたりと、まったく今日は忙しいです。

「それができたら」って、できるわけがないじゃないですか。というより、するつもりがない。

「この危機」とプレートさんは言いますが、彼らにとっての真の危機は「体制の危機」だけです。オリンピックを開催して国際的な名声を得ることも望んではいますが、そんなものは体制の維持に比べたらどれほどのものでもない。チベットを強圧的に押さえつけることが「中華人民共和国」という帝国を存続させていくために必要不可欠だと彼らは考えているのであって、それを国際的なイメージなどという屁のツッパリにもならないもののために犠牲にするつもりは露ほどもない。

「頭に血が上った排外主義者たち(つまり糞青)をコントロールしろ」と言いますが、彼らはむしろ反対のことをやっています。CNNやドイツの雑誌などを槍玉に挙げて排外主義を煽れるだけ煽っています。共産党政府は日ごろから国民に国を愛することは党を愛することだと錯覚させる教育を行っています。外国に対する敵意は祖国愛を強化し、体制の引き締めにつながるのです。

ですから外国から批判されることは、共産党にとっては「危機」どころか逆に好都合な面があるんです。


とまあ、言うべきことはたくさんあるわけですが、とにかくこの論説が後半部分において中共政府のやり方を批判し注文をつけていることは確かです。

共産党の機関紙「人民日報」が出している「環球時報」はしかし、都合の悪い部分を隠すために訳文に手を加えただけでなく、肝心の後半部分をばっさりとカットしてしまっています。そうすることで、この論説の筆者があたかも欧米のマスコミを批判して一方的に中国側の肩を持っているかのように見せようとしているのです。

しかも、なぜか筆者がアメリカ人であることを隠して、これが日本人が書いたもののように見せかけています。

この記事につけられた中国人読者のコメントを見ていきましょう。

緑字は筆者の感想と注釈です。

日本よ! 引き続き公正であることを望む! ありがとう! あなたたちに対する見方が変わった! ああ・・うれしい・・

スティーブン・スピルバーグについて言うなら、これは才能の問題ではない。絶対に中華民族に対する偏見だ。

日本人はフランス人よりずっと良い!

スピルバーグとギア、犬のションベンの映画はもう見ない!

見間違えじゃないか、これが日本のメディア?

ありがとう!

事実が証明している、北京オリンピックボイコットは間違った選択だ。

日本はよく言った、リチャードギアとスピルバーグは恥知らずだ。

鬼子も公正なことを言う。

死屍〔スティーブン・スピルバーグを省略して不吉な漢字で当て字をしたもの。中国人はよくこれをやる。〕は何様だと思ってるんだ。恥を知れ! SHIT!

信じられない! ありそうにない! 日本? ほんとに彼らが言ったのか?  
あんたは正しい!

欧米の一部の人はやりすぎだ。日本人にも正義を重んじる人がいる。

あのクズは何をしようというんだ。あいつらを死に絶えさせろ。やはりあいつはユダヤ人だ。第二次大戦のときに中国人が何をしてやったか忘れたのか。恥知らず。

信じられない。今度は小日本が我々に味方している?さてもおかしなことよ。

日本が中国のためにものを言う、めずらしい。

日本はこのような声をあげるべきだ。そうすれば中国での印象がよくなる。

この文章はよく書けてる! 日本はやはり自分の位置をはっきり認識すべきだ。どうであれ結局は東洋の国なのだから。

小日本が言っていることは正しい。日本人は嫌いだが、君を支持する。君が誰だかは知らないが、君は公正な立場に立ってものが言える。君を支持する。立派だ!!!
ごくろうさん

ずっと正規版の映画を支持してきたが、これからはスピルバーグの映画は例外だ。海賊版業者が彼の作品を大量に複製することを望む。みなが世界へ打って出て世界各地で彼の映画の海賊版をばら撒け。

人間の話ができる日本人をはじめて見た。

日本の大阪が〔オリンピック開催投票で〕敗れたあとすぐに北京に一票を投じた。国連事務総長選挙で、中国はアジアから出すことを要求した。世界がアジアから出すことに同意したとき、中国は黙り始めた。これは少し毛おじさんの矛盾論のようだ。日本がいつの日か本当の東洋の立場に立つことを望む。

国連事務総長選挙の話は意味が良くわからないです。
「東洋」の国はみな中国の属国だと誤解している人が多いですね。
関連記事: 日本は中国の娘になれ

日本の左翼新聞に違いない。だが非常に客観的だ。信ずるに値する。

日本の左翼新聞........親中国
日本の右翼新聞........反中国

これが日本の新聞だとはにわかには信じがたい。

これが日本人が言ったことか? 少し疑う。

日本人は中国を理解しているから。そして日本人はまた理性があるから。
中国の問題を見るに、アジアの国と欧米の国は違う!

この人も誤解している。これはアジア対欧米の問題ではない。アジアの国がすべて中国のような抑圧国家だと思うな。韓国人も猛烈に中国を非難しているぞ。

日本にどんな意図があるにせよ、我々が必要とするのはよい結果だ。このような文章はやはり良い面がある。

いったい誰が我々の友人なのか??? ヨーロッパか、それとも我々が長く排斥してきた日本か???

日本メディアのこのような話を聞いて心が温まる。

外国の報道記者がみな事実を歪曲して中国を攻撃しているときに、欧米の中国に対して友好的でない人を客観的に批判評価できる友人もいる。我々の友人に違いない。我々は、団結し、欧米の人民に向けて宣伝を強化し、彼らがうそとデタラメだまされることのないようにしなければならない。

よく言った。日本に好感を持った。

日本にもいい人がいたんだ!

このような声に本当に感謝する。

リチャード・ギアとスピルバーグがなんだ。ただの役者だ。中国人民はあんな恥知らずのげすのごろつきは歓迎しない。半歩でも中国領土に足を踏み入れたら、あんなやつらぶっ殺してやる。すべての帝国主義は紙に描いたトラだ。アメリカの馬鹿野郎をあの世へ送ってやれ。

この問題においては日本のこのメディアの報道は客観的だ。

日本を見直した。

この報道は割合客観的で正確だ。

支持する! 公正な評論だ!

------

記事を書いた記者や環球時報の編集部員たちもこのコメント欄を読んでいるだろうに、読者が誤解に基づいてああでもないこうでもないと言っているのに、知らせてあげようとしないんですかねえ。そうか、はじめから誤解させるための記事なんだから、知らせるはずもないか。

読者のほうも、「日本時報」がジャパンタイムズのことだと知っている人が一人もいないのかなあ。ネットでもとの記事を探してみようという人が一人もいないのかなあ。そうか、言論統制でジャパンタイムズは読めないようになっているのかな。それとも、真実を知らせる投稿は即刻削除されたのかな。

それにしても、環球時報がほかの記事で、欧米のマスコミが事実を歪曲しているだの、捏造しているだのと大騒ぎしているときに、自国民をだまして平然としていられるこの神経、中国らしいといえば中国らしい。

関連記事: 毒餃子捜査-再実験のすすめ

こんなものに踊らされて怒り狂ったりぬか喜びしたりしている中国人が哀れに見えてきます。

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テーマ:オリンピックとチベット問題 - ジャンル:ニュース

  1. 2008/04/21(月) 10:51:18|
  2. 中国
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:3
<<フランスの新聞が北朝鮮による拉致事件を報道 | ホーム | 此地無銀三百両>>

コメント

さて、この「中共 対 チベット」の構図を、「中共 対 欧米」に摩り替える技法、欧米社会の「市民」に通じるかどうか・・・?
  1. 2008/04/21(月) 11:37:47 |
  2. URL |
  3. 通りすがり #-
  4. [ 編集]

面白いくらい、綺麗に誘導される生き物ですな。
  1. 2008/04/22(火) 14:08:27 |
  2. URL |
  3. ngmz #-
  4. [ 編集]

国民を馬鹿のままで放置しておくのは、
結局回りまわって自分の足を縛るんだけどなあ。

今回みたいな事態になって、明らかに対話で落としどころを決めたほうがいいのに、
国内の猛反発を恐れて「あらゆる」妥協が出来ないでいる。
国民がもう少しマトモなら色々な選択肢があったハズ。
まあ、こんな国で民主主義を選ばなかった点だけは正しそうですが。
  1. 2008/04/23(水) 01:27:28 |
  2. URL |
  3. 通りすがり2号 #-
  4. [ 編集]

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