日本の評判

世界は日本をどう見ているか。 英語と中国語のメディアから日本に関する記事をとりあげ、考えます。

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ファシズムという用語について


たいへん遅くなりましたが、 アメリカの刀を借りて日本右翼を殺せ 本文記事の「ファシズム」という用語についてコメント欄で意見を寄せられた方がおられるので、それに関連して。

「ファシズム」という言葉は単なる罵倒語として用いられているということですが、ある言葉を誤用する人がいることはその言葉が無意味であることを意味しません。
それに、くだんのブログの戴旭という軍人はその言葉を現代日本に対する罵倒語に近いものとして使用している気味がありますので、言葉の由来と定義をはっきりさせておくことが必要かと思います。

関連する箇所を抜き出してみます。


ファシストは人類共通の敵であり、日本の右翼は本質的には民族主義などではなく、当時のファシズムの毒が現代まで残っているに過ぎない。欧米は日本から空間的に遠く離れているため、加えて日本経済の奇跡と日本の指導者が何かにつけて叫ぶ民主国家の看板に惑わされて、歴史上日本軍国主義が根本から清算されてこなかったという事実を見落としてきた。狼は毛並みを梳かして整えても犬にはならない。欧米はいま目を覚ますべきだ。日本の右翼は以前は歴史問題で中国を挑発し、現在アメリカをからかい始めた。次は全世界を愚弄するだろう。

(中略)

アメリカは、現に日本との政治上の同盟国ではあるが、人類普遍の価値観に関しては基本的な良識をなくしたわけではない。そして、中米間には意見の不一致や衝突があるにしても、新ファシスト等の人類の敵に反対することにおいては根本的に一致する。


戦前の日本がファシズム国家であったことは中国では常識とされています。
たとえば人民網(人民日報のウェブサイト)の2005年9月の「反ファシスト戦争勝利60周年」という特集に「反ファシズム戦争 世界は中国の貢献を忘れない」という記事がありますが、「中国の貢献」とはもちろん「抗日戦争勝利」のことであり、記事中では「日本ファシズム」という言葉が何度も使われています。
また、9月3日の人民大会堂での演説でも、胡錦濤ははっきりと次のように述べています。
「中国人民の抗日戦争は世界反ファシズム戦争の重要な構成部分であり、世界反ファシズム戦争の東方における主戦場である。」

【関連記事】
人民網  世界反ファシズム戦争における抗日戦争の歴史的位置付け

第二次大戦における「反ファシズム」陣営の一員としての立場を強調したい胡錦濤をはじめとする今の中共の意向が如実に読み取れるところです。戴旭さんなどはさらに一歩踏み込んで、現代日本を人類の敵「新ファシスト」と規定してアメリカを利用して日本を押さえ込もうとさえしています。

では、中共が反日本連合の同志として期待する欧米ではこの問題をどう捉えているんでしょうか。

アメリカのコロンビア百科事典の「ファシズム」の項は両対戦間のイタリアとドイツについての記述が中心で、他にはオーストリアとスペイン、戦後の南米の政権に触れている程度です。日本についての言及は一切ありません。英語版ウィキペディアもほぼ同じです。
(少し前までの英語版ウィキペディアには「両大戦間のヨーロッパの政権以外がファシズムとして言及されるのはまれである」という意味の記述があったと思うのですが、今探したら見当たりませんでした。)

日本語版ウィキペディアには 「軍事独裁政権下の大日本帝国(天皇制ファシズム)・・・・等もファシズムに位置づけられることがあるが、ファシズムか否かでは論議が分かれる。」 という記述もありますが。

このように見ると、「反ファシズム連合」の重要な一翼であるという欧米に向けてのアピールは中共の独りよがりの空振りに終わりそうです。ましてや現代日本がファシズム国家などというのは荒唐無稽もはなはだしいことです。

戴旭さんの試みは、日本語版ウィキペディアで述べられている類のものと言っていいでしょう。(英語版にも同様の記述があります。)

「 ・・・第2次世界大戦前後の期間に集中して現れている。これら以外の国家体制がファシズムとされることはあるものの学術的な根拠は貧弱で、特定勢力のプロパガンダによる蔑称、反体制非難等の諜報戦、思想戦に利用される事も少なくない。俗用による語義の拡散が原因であるとも指摘されている。」

では、中共をファシストと呼ぶことも同様に根拠の貧弱なプロパガンダということになりそうですが、しかし、現実の国家体制においてファシズム国家と共産主義国家の類似性を指摘しているのは何も日本人だけではありません。陳礼銘という中国人は、「社会主義とファシズム」という論文で、両者の共通点として次の八点を挙げています。反体制側からの思想戦の様相を帯びていることも確かですが。

1、怨恨をつくる。
  永遠に敵をつくらなければならない。

2、自己を持ち上げる。
  人を「我々」と「彼ら」にわけ、「我々」の苦難をすべて「彼ら」のせいにする。そして恥知らずにも自己を「我々」の代表として任ずる。

3.迷信専制独裁。
  議会制民主主義を憎む。

4.暴力崇拝。

5.反対者の弾圧

6.勢力拡張

7.世論統制

8.経済壟断


そう言えば、中国のサイトで、次のような意味深長な問答がありました。

「ファシズムって何?」
「国家社会主義。」
「国家社会主義と社会主義はどう違うの?」
「それは誰も言えない。」

長くなるので引用はしませんが、 ■現代中国をどう見るか~ファシズム的共産主義の脅威 で、国民統合の理念を共産主義から民族主義に切り替えた近年の中国がナチス型国家にますます似てきていることが余すことなく論じられています。

英語版ウィキペディアの「ファシズム」の項には日本いついての言及がないと書きました。ところがそこには驚いたことに「日本のファシズム」(Japanese fascism)という項目があるのです。その件については次回にします。

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8月10日前後を最後にしばらく休止することになりそうです。 

 
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テーマ:中国問題 - ジャンル:政治・経済

  1. 2007/08/08(水) 21:27:12|
  2. 歴史認識問題
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:4
<<「日本の歴史全体がファシズム」 | ホーム | 人民日報の矛盾>>

コメント

こちらの更新を楽しみにしていたので、休止はは残念です。
meine sacheさんのように、不定期でも再開されると嬉しいのですが。
  1. 2007/08/09(木) 10:28:34 |
  2. URL |
  3. hak #-
  4. [ 編集]

同じく、更新を楽しみにしていたものです。
私も、不定期更新を希望しておきます。
  1. 2007/08/09(木) 12:33:55 |
  2. URL |
  3. あきよし #-
  4. [ 編集]

更新待ってました。

「社会主義とファシズム」について妄想・・

もし日本が中国に
ごめんなさい アナタの奴隷になりますって
本当に奴隷になってしまったら、
最大の仮想敵が一つ消えてしまうので、
ボコボコに分裂しそうですね。
やってみませんか(笑)

これあくまでジョークです


  1. 2007/08/10(金) 14:21:31 |
  2. URL |
  3. SAKAKI #-
  4. [ 編集]

このブログの更新を心待ちにしている方がおられることをとてもうれしく思います。
なんかサボってばかりで申し訳ないです。
これからも暇を見つけて不定期にでも更新ができればと思います。

SAKAKIさん、なんせ彼らは日本人の常識では考えられないほど飽くことを知りませんからねえ。
  1. 2007/08/12(日) 13:45:55 |
  2. URL |
  3. にっぴょ #-
  4. [ 編集]

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