刺激的な表題をつけてしまいましたが、嘘つきと断じられてもしかたがないことを韓国政府がしていることをこれから述べましょう。
韓国外交通商省のウェブサイトの「
ホットイシュー」・「HOT ISSUE」というところに、「東海名称」「
EAST SEA」という項目があって、日本海を「東海」と呼称することの正当性を訴えています。
韓国語ページと英語ページだけで、日本語はないのですが、なぜかそこに韓国語版と英語版と並んで日本語版のビデオへのリンクが張られています。
日本海ではなく東海 : (08:20)
世界から消え去った名称、「東海」 : (02:19)
世界地図が変わっている : (08:19)
そこでなされている主張を要約してみます。
(1) 日本海と名称を一般的に使うようになったのは、1929年、海の名称を定める国際水路機関会議からである。それは日本の植民地支配下で決まったことで、当時韓国は代表を送って自らの見解を反映させることができなかった。
(2) 韓国は二千年前から「東海」という名称を使ってきた。
(3) 中国もこれまでの千五百年間日本海を「東海」と呼んだ。
(4) 日本人にも日本海を「朝鮮海」と表記している地図がある。
(5) 地名をめぐる紛争が起こった場合、当事国の間で合意が成立するまでは、二つの名前を併記すべきだと国連が勧告した。
(6) 3カ国以上によって囲まれた海を特定国家による地名で呼んでいるのは唯一日本海だけである。
(7) 「東海」が、地理的にも歴史的にも合理的で一般的でもある名称である。
まず(2)の 韓国は二千年前から「東海」という名称を使ってきた から行きましょう。
朝鮮が二千年前から東海という名称を使ってきたといっても、それは自国の東側に広がる海というぐらいの意味でしかなく、日本海という海域全体を意識したものではありませんでした。当時はそれだけの地理的知識がなかったのですから。
同様の意味で、朝鮮人は南側の海を「南海」、西側の海を「西海」と呼んできました。
もし、韓国が日本海を「東海」と呼ぶように主張するなら、南シナ海を「南海」、黄海を「西海」と呼ぶように主張しなければなりませんが、韓国人はそれをしようとはしません。
(3)中国もこれまでの千五百年間これらの海域を「東海」と呼んだ。

これは嘘です。この説が根拠としているのはこの種の地図でしょう。
これは、その時代には日本海が東シナ海とは別個の海であるという地理的知識がなかったということを無視した説です。中国人が使うこの「東海」も自国の東側に広がる海を漠然と指すものでしかありません。日本列島の位置、それに朝鮮半島との位置関係についての正確な認識もない時代に、中国人が日本海についての正確な呼称を使えるはずがないのです。
ですから、今日の地理的知識を持ってするなら、この場合の「東海」は東シナ海にあたります。
その証拠に、このビデオで「古代から中国で東海という名称が使われていた。」というナレーションにかぶせて示される「坤輿図」は、全体を大写しにするだけで、「東海」の文字が記されている部分を見せようとしないのです。韓国の古地図を見せるときは、「東海」の文字が読めるようにクローズアップして、丸印まで入れているのにです。
(4)日本人にも日本海を「朝鮮海」と表記している地図がある。日本人もこの海を「朝鮮海」と呼んでいた。
このビデオで示されている地図ではっきり読み取れるものは、いずれも朝鮮半島近辺の海に「朝鮮海」と表記されている地図で、日本海全体を指しているようにはとても見えません。
(なぜかうすぼんやりとしか文字が読み取れないものでは、日本海の真ん中に表記されているらしきものもあるのですが、はっきりはわかりません。なぜわかるように見せないのでしょうか。)
それに、最初に日本海という呼称が広く使われるようになったのは西洋諸国においてであって、日本はそれに倣ったのですよ。
なによりも、前回記事と同じことを繰り返すことになりますが、韓国が主張しているのは、「東海」呼称であって「朝鮮海」ではないのです。
日本人がこの海を「東海」と呼んだことはありません。当然です。日本海は日本の北側と西側にある海であって、東側ではないからです。(対馬を除く)
このビデオはこのまったく異なる二つの名称を「韓国とかかわりを持つ名称」という理由をつけて混同させようとしています。
ひとつとんで(6)。3カ国以上によって囲まれた海を特定国家による地名で呼んでいるのは唯一日本海だけである。
これも嘘です。インド洋などは数えるもの面倒なほど多くの国に囲まれています。
それにそれがたとえ本当だとしても、日本海呼称を否定する材料にはなりません。2カ国がよくてなぜ3カ国が悪いのか、合理的な説明がありません。
(7) 「東海」が、地理的にも歴史的にも合理的で一般的でもある名称である。
朝鮮にとっての東側の海である日本海は、日本にとって北側と西側、ロシアにとって大部分が南側の海です。韓国人にとっての「東海」でしかない海を国際的に東海と呼ぶことがどうして地理的に合理的なのでしょうか。それは朝鮮人の偏狭な自国中心主義を表した名称でしかありません。「一般的」などとは到底言えない代物なのです。
日本人がいちばん抵抗を感じているのもここだと思います。
このビデオで繰り返し強調されているのは「韓国人が二千年間使ってきた東海」ですが、自国でしか通用しない世界観の発現である名称は、自国だけで使っていればいいのです。
(1) 日本海と名称を一般的に使うようになったのは、1929年、海の名称を定める国際水路機関会議からである。それは日本の植民地支配下で決まったことで、当時韓国は代表を送って自らの見解を反映させることができなかった。
このビデオは、日本海から「東海」の文字が消えてが消えて「日本海」が現れる映像と、日本の軍人が万歳している映像を重ね合わせるという、悪辣な印象操作をしています。
『「東海」は日本の殖民主義によって世界地図から消えてしまった。』 とこのビデオは言います。これは前回取り上げた金新教授のサイトでも述べられており、これが韓国側主張のいわば核心です。
それははたして本当でしょうか。
日本外務省はこの問題について欧米の図書館で広範囲にわたる徹底的な調査を行いました。
その結果は同省のサイトの
日本海呼称問題 というページで発表されています。そこにはグラフや表がいくつも載せられていますが、そこからわかるのは、18世紀までは確かに「朝鮮海」系、「東洋海」系の表記が多いものの、19世紀以降は「日本海」表記が圧倒的多数になっていることです。
そこから表をひとつだけ載せておきます。
この画像は
厳選!韓国情報さんからお借りしました。

もし万が一、日本外務省の調査結果が信用できないという方がいらっしゃるなら(このブログの読者は日本人だけではないわけだし)、www.raremaps.com という世界の古地図を集めたサイトに行ってみるといいでしょう。
そこの
Maps of Asia に掲げられている多数の地図のうち、1812年の Conrad Malte-Brun 以降の地図で文字が判別できるものはすべて SEA OF JAPAN 、JAPAN SEA などの「日本海」系の名称でで表記されています。
Maps of Japan では1809年の Robert Wilkinson のもの以降、
Maps of Korea では、1806年の John Cary のもの以降はすべて「日本海」です。
同じウィルキンソンでも、1799年の地図では GULF OF COREA ですから、19世紀初頭のヨーロッパで日本海に対する認識が大きく変わったことがうかがわれます。
このように見てくると、「日本の植民地支配によって世界地図から東海という名称が消えた」という韓国政府の主張は真っ赤な嘘であることがわかります。
例のビデオでは GULF OF COREA と表記している地図を示して、「これは1840年にロンドンで発行されたライザスのアジア全図である」と言っていました。
(同じ
ビデオの英語版を見ると、「ライザス」のつづりが Lizars であることがわかります。)
ネット上ではその地図は発見できませんでしたが、1831年に発行された
Lizars, Daniel の地図 はありました。
(ポップアップブロックのある方は「ツール」を開いてロックをはずして地図をクリックすると拡大されたものが見られます。)
しかしこの地図で日本海として表記されているのは SEA OF JAPAN です。そして東シナ海のところに、
「TUNG−HAI or EASTERN SEA 」と書かれています。
TUNG−HAI は「東海」の北京語読みです。
ここから、Daniel Lizars が日本海ではなく、現在東シナ海と呼ばれている海を「東海」と認識していたことがわかります。
ということで、「日本海呼称が世界で一般的に用いられるようになったのは日本の朝鮮植民地化以降」という韓国側主張の核心が完全にくずれ去ったわけです。そのことを踏まえてでしょう、例のサイトのQアンドAのコーナーで、
Q.2 西洋の古い地図は「日本海」をより頻繁に用いたというのは本当か? という質問を設けてそれに答えています。
世界中の古い地図を正確に調査することはきわめて困難な課題であるから、限られた研究の数から結論を引き出すのは適切ではない。しかし、広範囲にわたる研究を再検討した結果、16世紀から18世紀はじめまでは、 Korea に関係した名称がより頻繁に見いだされる。しかし、18世紀後半から19世紀はじめまでにヨーロッパ諸国で出版された地図は「日本海」をより多く使い始めた。
日本の外務省が実証的な調査を行い、精密にして詳細な結果を突きつけたので、韓国政府も嘘をつき通せなくなったということでしょう。
実際には「より多く」どころではなく圧倒的多数が「日本海」を使っているのですが、とにかく、しぶしぶながら事実を認めざるをえなくなったようです。
しかし、それに対する言い訳が振るっています。
日本はこの事実を、「日本海」という名称が19世紀はじめの時点で確立したと論じる根拠にしている。しかし、当時は特定の海域の標準的な名称を定める権威ある機関が存在しなかった。だから「日本海」という名称が国際的に確立したという日本の主張は意味がない。
権威ある機関の決定など必要ではありません。外務省の調査で示されたように、世界の地図の圧倒的多数が(リンクしたサイトに掲載されたすべての地図が!)「日本海」を使っているのですから、「確立した」というにはそれで十分すぎるほどなのです。
「詩人としての名声を確立した」というとき、その名声は権威ある機関によって決められたものでしょうか。そうとは限りません。大勢の人によって称えられれば、それを「名声を確立した」というのです。
ここで「確立した」と訳したのは、サイトの原文では was established ですが、韓国外交通商省のサイトのこの筆者は、この言葉を不必要なまでに狭義に解釈して、日本に難癖をつけています。こういうのを苦し紛れの屁理屈といいます。
この屁理屈のもっと根源的な矛盾を指摘しましょう。
例のビデオも、このサイトの文章も、「東海」呼称が国際的に承認されるべきだとする根拠として繰り返し述べているのが、「朝鮮人が二千年間使ってきた」ということです。しかし、この論理に従えば、それは権威あるによって機関によって決定された名称ではないので意味がありません。
ビデオで、日本人が作った地図にも「朝鮮海」と表記されていたと言っていましたが、当時は権威ある機関が存在していなかったので、それも意味がありません。
日本植民地主義が「日本海」呼称を強制するまでは「朝鮮にかかわりを持つ名称」が一般に使われていたという主張も意味がありません。
ここで、「意味がない」と訳したのは原文では not valid. です。 valid は辞書を引くと、「妥当な、正当な、根拠が確かな」とでています。
韓国政府はこれらの妥当ではない、正当ではない、不確かな根拠をもって、国際水路機関という「権威のある機関」が下した決定を覆そうというのです。
前回の金新教授もそうでしたが、韓国人というのその場その場の理屈を取り繕うことで、別のところで自分が主張している根幹のところを否定してしまうということをよくやります。
まだ続きがありました。
それゆえ、古地図において問題の海域に対してさまざまな呼称があるということは、ただひとつの正当な呼称など存在しないということである。
まだ言ってるよ、この人。
19世紀以降はほぼ「日本海」に統一されているんだって。
Q4. 「日本海」という名称は世界の地図でなぜ「東海」よりも広く使われているのか。
(略)
「日本海」のこの広範囲の使用は、19世紀後半のアジアの強国としての日本の影響力の高まりと深いかかわりがある。その時代に現代と同じような地図が多く作られた。
さらに言えば、国際水路機関が最初の「海と海洋の境界」を出版したとき、それが世界の海の名称と境界を定めるときに主に参考にされるのだが、朝鮮は日本の植民地で、「東海」呼称の正統性を訴える機会を奪われていた。これも「日本海」がすばやく国際的に確立された用語になった要因だ。
まだ嘘をついています。「日本海」呼称が一般的になったのは、19世紀初頭であって後半ではありません。ですから、「日本の影響力」のためではありません。
ましてや、「日本による植民地化」などとは何の関係もありません。
さきに訳した、Q2.のところでこの人も、『18世紀後半から19世紀はじめまでにヨーロッパ諸国で出版された地図は「日本海」をより多く使い始めた。』のが事実だと書いているのに、べつのところで相矛盾することを平気で書けるこの無神経さはどうでしょう。
かねがね考えてきたのですが、韓国人は「日本による被植民地化」を政治的に徹底的に利用しようとします。自国の理不尽な要求に正当化の衣をかぶせ、国際社会から同情を引き出すための格好の材料だと考えているようです。
ビデオで、「東海」の消滅と日本軍人の万歳をオーバーラップさせる手法はその典型的なものです。
さて、こうしてみると、最初にあげた韓国政府の主張のうち、嘘でもない、屁理屈でもないのは、4、の
「地名をめぐる紛争が起こった場合、当事国の間で合意が成立するまでは、二つの名前を併記すべきだと国連が勧告した。」
だけだということになります。
これについては
日本外務省の反論がありますが、
地名について争いがある場合には、それぞれが主張する地名を併記することが公平であるとの誤った議論があるが、これについても、国連事務局は、併記することは従来の国連の慣行を破ることであり中立ではなくなる、むしろ中立・公平であろうとすれば、従来の慣行を維持することであると説明の上、従来からの慣行である「日本海」単独呼称を維持する方針を明確にしている。
もっと根本的な欠陥がこの主張にはあります。
多くの国で「南シナ海」と呼ばれている海をベトナムは「東海」と呼んでいることは前回書きましたが、もしベトナムが国際水路機関で南シナ海を「東海」と併記せよと主張したら受け入れられるのでしょうか。そうすればフィリピンはこれを「西海」と呼べと主張する権利があるし、マレーシアは「北海」を呼べと言い出すかもしれません。
インド洋にいたっては、数えるのも面倒なほど多くの国に囲まれています。国際社会はそれらの国の主張をすべて括弧に入れて併記しなければならないのでしょうか。
そうなったら収拾がつかなくなることは目に見えていますが、現実にそれは起こりそうにありません。
それはただひとえに、それらの国々が韓国のような偏執狂国家ではないという事実によっているのです。
そう考えてみれば、韓国一国の理不尽な要求をうけいれることは到底不可能であることが自明の理であることがわかるはずです。
結局、日本海の名称は歴史的経緯と地理的条件を総合的に勘案して決定するほかないのです。

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テーマ:韓国について - ジャンル:政治・経済
- 2007/06/05(火) 21:54:05|
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