日本の評判

世界は日本をどう見ているか。 英語と中国語のメディアから日本に関する記事をとりあげ、考えます。

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米議会調査局報告書の欺瞞

「終戦直後の日本国内で占領米軍の命令により売春施設が多数開かれたことが米側にいまになって伝えられた。」という記事を読んでネットで検索すると、意外なものに突き当たりました。

Yuki Tanaka,
Japan's Comfort Women:
Sexual Slavery and Prostitution
During World War II and the US Occupation

「日本の慰安婦  第二次大戦中とアメリカ占領期における性奴隷制度と売春」という本についての書評です。

これはアメリカ議会調査局報告書で触れられていた本に違いありません。
「慰安婦問題」米議会調査局報告書  でとりあげました。)

報告書の次の部分です。次の部分です。

田中ユキが「日本の慰安婦」で引用した400以上の証言のうち、200人近くの女性が日本軍、憲兵または軍の代理人によって暴力的に捕らえられたと述べている。そのことは特にフィリピン、中国、オランダの女性について言える。


ですから私はこの本が日本軍の犯罪性を並べ立てただけの一方的な日本批判本だとばかり思っていたのですが、それがどうやら違うようなのです。

書評によると、この本のはじめのほうの章では、日本の軍、政府、業者が結託して慰安所を創設した過程を描写して、それが人道に対する罪であると述べています。
そして連合国が東京裁判で「慰安婦システム」に関して関係者を訴追しなかった理由として、慰安婦の大部分が「アジア人」であったことがあるとしています。

そしてもう一つ大きな理由があるとしているのですが、そこは引用でいきます。

<>内は小生がつけた注釈です。


しかし田中の主な論点は連合国自身の「性イデオロギー」である。
すなわち、戦前の非西洋人女性に対する扱い、戦時中に<連合国の>軍が売春を管理したことと、日本占領中に連合国軍人のために<日本軍と>同様の「慰安」システムの創設を共謀したことを隠蔽しようとし実際に隠蔽したことだ。
これらが連合軍が<慰安婦に対する罪で日本人個人を>訴追できなかった決定的な要因だというのだ。

蘭領東インドについては、たとえば、オランダ人が植民地支配の過程で大量のインドネシア人女性を性的に搾取したと田中は述べている。オランダ人はインドネシア人女性とインドネシア‐オランダ混血女性に対する性的虐待は重大な犯罪だとみなさなかった。

戦争中だけでも、(連合国は)連合国の「性イデオロギー」と<日本の>慰安婦システムの犯罪性を区別することが完全に不可能だったことを田中は明らかにする。

ピューリッツァー賞を受賞した日本史学者のジョン・ダウアーは、この本の巻末で、「衝撃的で論争を呼ぶ新しい方向の分析」だと述べている。

田中は調査の大部分をアメリカ、イギリス、オーストラリアの軍の活動に充てている。
彼は、アメリカが性病管理に関して日本軍と同じ問題で頭を悩ませたことを示す、合衆国公文書館で得た証拠を提示した。

たとえば、アメリカ軍の監察長官は性病の蔓延を防ぐために「管理された施設... 他国がやったような」の創設を推奨している。
結局、アメリカ軍はこのタイプの軍事売春宿を奨励しなかった。そして、実際に兵士に売春婦のところへ行くことを許可しない政策をとった。

しかし、中央アフリカ、中東、インド、カリブ海地域で一部の現地司令官はこの政策に反して売春施設を指定し、「安全」のために住民の女性の性病検査をした。
たとえばリビアでは、兵士たちは性病に感染していないことを証明する公的な鑑札を持たない「女性村」の女性とは一切関係しないよう命じられた。

田中はこの事実に対する証明として、性病予防具<コンドーム>を兵士に供給することによってアメリカ軍が組織的な売春を「制度的に支援した」と述べている。‐‐たとえば、米軍医療部隊のある将校は、コンドームの必要量を一人の兵士が一ヶ月に4個、予算の支出が年間3千4百万ドルと見積もっている。

一方、オーストラリアは中東で軍が管理する売春宿を公然と手配し、女将を選び、しかるべき女性に医療検査を施した。
田中は、新たに設立されたトリポリ売春宿についてのオーストラリア軍公式報告書を引用して、その描写が「慰安所」の状況に酷似していると述べている。

女性たちはプロの売春婦だったが、国際法違反(どの点で慣習国際法違反であるであるか彼は明らかにしないが)であることに変わりはないと彼は主張する。
ある場合はオーストラリア軍に16歳の少女が認められ売春婦として雇用された。

全般的にこの章で彼が言いたいのは、連合国軍の売春への関与は日本人が実行した「慰安」婦システムと同じだということであり、そしてこのことによって連合国の立場が弱くなり、「慰安」婦システムを犯罪行為だとみなすことができなくなったということだ。


連合国の「性イデオロギー」と、「慰安」婦システムを犯罪とみなすことができなかったことをさらに関連付けるために、田中は、連合国占領軍の兵士が日本女性に対して犯した性暴力の問題を提起している。

彼は「連合軍兵士による大量強姦」の証拠になる文書がないことを認めるが、この時期に日本女性への強姦と襲撃があったという信頼に足る口頭の証言を指摘している。
たとえばある場合には、1945年8月30日の占領開始から9月半ばまでほとんど毎日のように連合国兵士による強姦事件が報告されたという神奈川県警の報告書を引いている。
実際、アメリカ第8軍司令官 R. L.アイチェルバーガー将軍は、ダグラス・マッカーサーと最初に会ったときの用件は日本の降伏についてではなく、海兵隊員による強姦だったと日記に書いた。

そのような惨劇は日本人の間で広く恐れられた。それは、大量強姦は不道徳な「野蛮人」の常だという戦時プロパガンダに洗脳された民衆だけではなく、指導的な政治家と官僚もそうだ。

占領開始の前から、プロの売春婦と募集に応じた「志願者」からなる「慰安婦」システムに非常に似たものが連合軍兵士のために日本に創設された。

連合国がそのような「慰安婦」システムを当てにした‐‐要求したのではないにしても‐‐という事実により、日本人を「慰安婦」システムのかどで訴追しないことが連合国にとって政治的に都合が良くなったということを田中は示そうとする。

田中はこのように日本と連合国を同列に論じているが、「連合軍兵士が戦後すぐに犯した同じような犯罪を挙げることで、日本人が戦時中に犯した罪を軽減しようとか正当化しようというつもりはない」と強調する。

(中略)

田中は書く。
「占領に参加した連合軍は、一般の兵士からGHQの公共衛生福祉部門の職員、連合軍の最高司令官その人まで、すべてが、多くの日本女性が経験した苦難の責任を負うべきだ。」

(後略)


評者は、田中が日本軍と連合軍を「性イデオロギー」の面で同一視しているとし、それに必ずしも賛成ではないようですが、そのことは脇においておきましょう。
ここで重要なのは、この本の主要な論点が次のようなものであることです。

1、連合国の軍隊も慰安所の運営にかかわった事実があり、それは国際法違反である。
2、占領軍は日本女性が経験した苦難の責任を負うべきだ。

最初にも述べましたが、この本はアメリカ議会調査局報告書で日本軍の「慰安婦システム」への関わりを示す根拠の一つとして使われています。

報告書はしかし、田中の同書での上述のような主張についてはまったく触れていません。
つまりこの報告書は、日本軍と連合軍の行為をともに取り上げどちらにも責任があると論じる本から、日本政府に謝罪を求めるという自己の目的に沿った部分だけを抜き出し利用しているのです。田中氏の主張の核心部分を読者から隠したままで。

読者から隠しているのはそれだけではありません。
この報告書は、根拠にした資料を箇条書きで詳しく紹介しており、同書については次のように記しています。


朝鮮、中国、台湾、フィリピン、インドネシア、オランダからの数百人の女性の証言。これらの多くは、2002年に出版されたユキ・タナカの「日本の慰安婦」に記述されている。同書は400人以上の女性の証言に触れている。


最初に掲げたように、この「日本の慰安婦」という本には「第二次大戦中とアメリカ占領期における性奴隷と売春」という副題がつけられているのに、それを省いてしまっているんです。
アメリカをはじめとする連合国の責任について一切読者に考えさせまいとするラリー・ニクシュ(この報告書の筆者)の意図がありありと読み取れるところです。

ニクシュのこのやり方はこれに限ったことではありません。 「慰安婦問題」米議会調査局報告書  で指摘したように、ビルマでの朝鮮人元慰安婦への聞き取り調査報告書に関しても同じことをやっています。

ニクシュは、もし自分の誠意を疑われたくないのなら、少なくとも根拠にする資料がそもそもどのような性格のものなのかを嘘偽りなく明らかにしておくべきでしょう。
そして、その資料に自分が主張したいこととは逆の、または相容れない内容が含まれていたら、そのことにもきちんと触れておくべきでしょう。

この報告書は、ひとつの資料の中での引用箇所が恣意的であると同時に、資料の選択そのものに非常に偏りがあります。
日本では報告書で提示されている「事実」を否定するような内容の書籍が多数出版されていますが、それらを一切取り上げようとしません。

少なくとも中立的な立場に立った報告書を標榜するなら、あらゆる方面からの資料を提示し、それらを比較検討すべきでしょう。何らかの結論を導き出すのはその後にすべきです。
それをしようとしないのでは、この文書はもはや公正な報告書とは言えません。ただの一方的なプロパガンダです。

アメリカ議会はこんなものに基づいて議論しようというのですから、何をか言わんやです。


産経新聞から。


AP通信の4日の報道によると、終戦直後の1945年9月、日本当局が占領米軍からの命令で東京都内などに多数の米軍用の売春施設を開き、合計数万人の日本人「慰安婦」が雇用、あるいは徴用されたことを証する日本側書類が明るみに出て、ホンダ議員は米軍用慰安婦に関して米軍自体がどんな役割を果たしたかなどの調査を議会調査局に依頼したという。

 同議員は自らが追及している戦時中の日本軍用の慰安婦と戦後の米軍用の慰安婦の比較について「日本軍の慰安婦は日本帝国軍隊の政策として性的奴隷という目的のために少女や女性を拘束し、強制し、拉致したのだから、米軍のそれとは異なる」と語った。


AP通信の記事には米軍の「命令」があったとは書いてありませんが、米軍用の売春施設が開かれていたことは目新しいことでも何でもありません。ホンダ議員はそんなことさえ知らずにこの問題に関わっていたのだとしたら驚きです。
調査すべきはむしろこちらでしょう。

「日本軍の慰安婦は日本帝国軍隊の政策として性的奴隷という目的のために少女や女性を拘束し、強制し、拉致した」

まあ調査をするのがラリー・ニクシュだとしたら、公正な調査などはなから期待できませんが。

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テーマ:慰安婦問題 - ジャンル:政治・経済

  1. 2007/05/11(金) 16:09:29|
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