日本の評判

世界は日本をどう見ているか。 英語と中国語のメディアから日本に関する記事をとりあげ、考えます。

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「慰安婦問題」米議会調査局報告書  

さて、いつものことながら反応の遅い当ブログです。出し遅れの証文の観はありますが、数日前から書き始めていた記事を完成させてアップします。

慰安婦問題に関してアメリカの議会調査局が報告書を出したことはご存知の方も多いと思います。
それについて、産経新聞と朝鮮日報など韓国メディアそれに日本の赤旗の報道では、受ける印象が正反対なんです。

産経      「組織的強制徴用なし」 慰安婦問題 米議会調査局が報告書  4月12日付 
朝鮮日報   慰安婦:「日本政府・軍の強制動員関与、証拠は明白」  4月10日付
赤旗      全段階で日本軍が関与   4月13日付

(三紙の記事は末尾の「続きを読む」に転載します。)

実際の報告書ではどうなっているのか、読んでみました。

日本軍の「慰安婦」システム 

報告書は、今年になってからの安倍首相をはじめとする政府、自民党関係者の発言が、河野談話を継承するという立場と矛盾すると述べた後、次のように書きます。

以下、一部分を和訳しますが、それでも長たらしいので忙しい方はとばしてもらってもかまいません。後の結論部分を読んでからさかのぼって斜め読みしてください。


 (1)慰安婦システム創設における日本軍と政府の関与の度合い。:

日本政府と軍が直接慰安婦システムを創設した証拠は明白だ。1992年-1993年の日本政府の報告は、処々の軍官が処々において慰安所設置の過程を主導したことを見いだした。軍はまた慰安所の装備に手を貸し、運営のための規則を定めた。朱徳蘭が発見した台湾の文書は、日本の台湾植民地政府による日本の中国侵略を支えるための台湾拓殖株式会社設立について述べている。1937年までに植民地政府は、台湾拓殖株式会社に台湾人慰安婦の募集と中国海南島への移送を指示した。海南では日本軍は62の慰安所建設を含む台湾拓殖株式会社のすべての活動を監督した。

吉見文書は、中国の日本軍部隊が1937年の日本の中国侵略に続いて中国北部と中部に慰安所設置を開始したことを証明した。
そのうちの一つ、北支派遣軍参謀長による文書は、管轄下の部隊に、「できる限り速やかに性的慰安のための施設を整えることはきわめて重要である」と指示した。

1992年の韓国政府報告書は、朝鮮駐留日本軍による慰安婦施設設置のための同様の命令を引用している。

(2)日本軍が慰安婦の徴募と移送、および女性たちが日本兵にセックスを提供した「慰安所」の管理に関与したか否か。

システム運営(女性の徴募、女性の移送、慰安所の運営)におけるすべての段階で日本軍の関与があったことを証拠が物語る。

軍と日本の植民地政府が慰安婦を集めるためにしばしば台湾拓殖会社のような民間会社と契約していたことが証拠からわかる。

アメリカの軍人がビルマのミッチーナで朝鮮人慰安婦から聴取したところによると、彼女たちは募集のときに日本軍の統制に服することを規定した契約書にサインしたという。

吉見文書の一つ、1938年3月4日付のものは、「軍慰安所に配置する女性の徴募について」と題して、日本の陸軍省から北支派遣軍へ出されたものだ。陸軍省は次のような指示をした。「派遣軍は徴募を監督すること。そして委託業者を慎重かつ適切に選考すること。実施においては当該地域の憲兵と警察当局が緊密に連携することとし、軍の威厳を保ち社会問題を避けるために細心の注意を払うこと。」

特に注目すべきは、当時の陸軍次官梅津美治郎中将が文書に署名していることだ。梅津は後に参謀総長および第二次大戦中の戦時内閣の一員になった。彼は1945年9月2日戦艦ミズーリ上で降伏文書に署名した。

ほかの吉見文書は、中国北部で日本軍が設置し当地の日本軍司令部が監督する慰安所について記している。

多くの場所で慰安所は、ときには「ハウスマスター(舎監)」と呼ばれる民間人が経営していたことを証拠は示している。
しかし、その地の軍司令部が慰安所運営のための詳細な規則を定めていた。それには営業時間や、将校と下士官が別の時間に慰安所に行くこと、憲兵の配置、医学検査と治療についてが含まれる。

ミッチーナでのアメリカ軍人の聞き取り調査のときに朝鮮女性がこれらの規則について述べている。

(3)女性たちが慰安婦にされ慰安婦として務めたのは自分の意思か否か。

これは女性の募集の際のやり方と慰安所での女性の地位がかかわっている。安倍首相の声明と下院決議121〔慰安婦非難決議〕はこの問題を表現するのに「強制」という言葉を使った。アメリカン・カレッジ・ディクショナリーは、「強制する」、「強制」を「暴力的な行動によって無理強いすること」、「暴力的な圧迫」と定義している。

田中ユキが「日本の慰安婦」で引用した400以上の証言のうち、200人近くの女性が日本軍、憲兵または軍の代理人によって暴力的に捕らえられたと述べている。そのことは特にフィリピン、中国、オランダの女性について言える。

1993年の日本政府報告の結論の要約は、「募集人は、女性を意思に反して募集に応じさせるために多くの場合甘言と脅迫を使った。」と述べている。伝えられるところによると、報告書それ自体、「業者が軍に要求されて甘い言葉と強制で女性を引っ張った」と述べた。

フィリピンと中国の女性の証言、それに日本軍の文書も中国とフィリピンで強姦が蔓延したと述べている。上記の北支派遣軍参謀長が発した命令は、「多くの場所での日本軍将兵による強姦の多発」について触れている。強姦は明らかに、1943-44年の日本軍と中国軍及び大規模なフィリピンゲリラとの烈しい戦闘のあった地域で多数発生した。伝えられるところによると、その地の日本軍部隊は地元の中国人やフィリピン人少女を拉致し、何週間も何ヶ月も拘束し、繰り返し強姦した。

オランダ政府も、1942年の日本の蘭領東インド侵略の直後に日本兵に強姦されたと訴える多数のオランダ人女性の証言を記録している。

強制的徴募がオランダ政府の戦争犯罪裁判で罪に問われ記録されている。それはオランダ国立公文書館の文書 AS5200 と1994年の「日本占領中蘭領東インドにおけるオランダ女性強制売春についてのオランダ政府文書の研究」のオランダ政府報告に記録されている。

これらの訴訟と報告は、軍の監督の下、日本軍がオランダ女性を収容所から(ときには収容者の抵抗に遭いながら)強制的に移送し、慰安婦を務めることを強いた例が多かったことを記録している。

多数の日本軍将校がオランダ戦犯裁判所によってオランダ女性に対する犯罪について断罪された。訴訟と報告はまた、ユーラシアン(欧亜混血)とインドネシア女性の強制徴募も記録している。

詐術が軍と軍の契約者、仲介業者の常套手段であったことを証拠が示している。

ミッチーナで朝鮮女性が米軍の面接者に語ったところによれば、募集人はビルマにいる朝鮮人女性に、シンガポールの病院で負傷した日本兵の世話をすることになると言った。

中国昆明にいた朝鮮人女性の証言によれば、300人の朝鮮人慰安婦は、朝鮮の少女にシンガポールの日系工場での雇用を謳う朝鮮の新聞の広告に応募した。

昆明からのOSS報告は、「23人の女性すべてが明らかに強制と虚言によって慰安婦」になったと結論づけている。

他の多くの元慰安婦も、募集人の詐術を語っている。

韓国外務省の報告は、多くの場合日本人と契約募集人の詐術があったことを引用している。

アメリカ戦争情報局も、1941年12月7日の日本の真珠湾攻撃まで在韓国アメリカ人宣教師だったホーレス・H・アンダーウッドの報告を出版した。彼は日本人が「さまざまな方法で大勢の韓国人少女を満州と中国の売春宿に送った。そしてこれが韓国人の憎しみをかき立てる要因になっている。」と述べている。

募集人はまた、日本認可の金融機関に深刻な負債を抱えた少女の家族に向けて明かな甘言と脅迫を組み合わせて用いた。ミッチーナで証言した女性たちは、病院で働くことを志願すれば家族の負債を完済する道が開けると募集人に言われたと証言した。

田中由紀の本に引用されている多くの女性の証言には、募集人が同じような詐欺的手法を使ったとは書かれていない。

ミッチーナの朝鮮人女性などの証言では、女性たちは慰安所に到着してからは日本軍が彼女たちを解放して家に帰ることを許可するまでそこで勤めた。

日本軍は1943年にミッチーナの朝鮮人女性を何人か解放したが、多くは第二次大戦中は慰安所にいたことが多くの証言が示している。

日本軍が朝鮮人女性が韓国へ帰ることを許さなかったために、彼らが危険を冒して日中の戦線を越えて脱走することを選んだことを彼らの話が示している。


慰安婦徴募の際の強制をめぐる2007年の議論は、女性たちが自分の意思で慰安婦になったか否かという、より広い問題を覆い隠してしまう。

入手可能な証拠から、ほとんどの女性が意思に反して慰安婦になったということは疑う余地が無い。意思に反してということを詐欺的な募集に応じてというふうに定義すれば。
このシステムには真の自発的な性質などほとんど無かったように思われる。


このように読んでくれば、この報告書の言わんとするところを比較的忠実に要約しているのは赤旗と朝鮮日報の方だと誰もが考えるのではないでしょうか。産経の古森記者の記事は正確さを欠いていると私には思われます。もっとも、彼も本文では報告書の言う「軍の役割」についても触れてはいるんですが。

朝鮮日報のほうも、韓国人が関心を持つであろう韓国政府の対応について一言も触れていない点でこれはこれで問題があると思います、そのことはいずれまた。

それよりも何よりも私が問題があると思うのは、この報告書自体です。

この議会調査局報告書は、「慰安婦システム」に日本軍が直接関与していたことの証拠として、アメリカ戦争情報局が戦時中の1944年に出した報告にある証言を引用しています。

こちらで読めます。
Report No. 49: Japanese POW Interrogation on Prostitution.(英語)
米軍公文書での慰安婦UNITED STATES OFFICE OF WAR INFORMATION APO689 (英語と日本語)

下院決議案が日本政府に謝罪を求める理由とされているのは、「日本帝国軍隊が慰安婦として性的奴隷を若い女性に強制したこと」(赤旗紙の訳による)です。そして「強制」があったことを証明する重要な根拠の一つとして挙げられているのが前記の戦争情報局報告書であるわけです。

ところが、この戦争情報局報告の前文には、「『慰安婦』とは、売春婦にすぎない。もしくは『野営追随プロ』、軍人の利益の為日本陸軍に付属する。」と書かれているんです。ここには他にも、彼女たちが比較的贅沢に生活していたこと、町に出て買い物をする自由があったこと、相当額の収入を得ていたこと、客を拒否する権利があったこと、債務を返済し終わって朝鮮に帰国した者もいたことなどが記されています。

総じてこの戦争情報局報告から受ける印象は「性的奴隷」などという言葉からは程遠いものです。日本軍に対する非難めいた響きはほとんどありません。議会調査局報告はそれらを一切無視し、「軍の関与の有無」と「徴募の方法」の2点に絞って問題設定をし、日本非難の根拠にしているのです。

戦争情報局報告からは確かに軍の関与が読み取れますし、徴募の際に虚偽の説明がなされたことも記されています。それらは今日の基準に照らして言えばもちろんあってはならないことですし、犯罪行為でありましょう。しかし、そのようなことは公娼制度が存在した日本国内でもあったでしょうし、当時の世界を見渡してみても珍しいことではなかったのではないでしょうか。

「中華民国の軍中楽園は、蒋介石が当時米軍顧問団の建議を受け入れ、軍人の孤独感を癒し、戦力および社会治安に対する影響を避けるために設けられた制度だ。 」

台湾の慰安婦問題 で引用した文章です。ここかわかるのは、アメリカ軍は第二次大戦後でさえ軍が慰安所の運営にかかわることを罪悪視していなかったことです。蒋介石に軍中楽園の設置を建議したときに彼らの念頭にあったのは日本軍の慰安所だったのではないでしょうか。

アメリカ人は、五六十年前には大して問題にもせず、自らも蒋介石に建議したことを、今になって日本政府を断罪する材料にしようというのです。決議案の異常さがわかろうというものです。同じ基準を適用するなら、アメリカ政府と中華民国政府をも非難の対象にすべきでしょう。

議会調査局報告はまた日本軍がオランダ女性に強制的に売春させたと述べていますが、これは軍中枢からの指示ではなく、現地指揮官の独断の行為であり、責任者はすでに処罰されています。

中国やフィリピンで強姦が多発したことも挙げていますが、それはこの報告書が言うところの「日本軍が組織的に関与した慰安婦システム」の埒外にあることです。数十年前の軍事行動において兵士の強姦が多発したことをもって現在の政府が謝罪しなければならないのなら、アメリカ政府は日本人に謝罪しなければなりません。日本を占領した米軍の兵士による強姦事件が多数発生したことは周知の事実ですから。

「慰安婦システム」の実態を明らかにすることを目的とした報告書において、それとは無関係の強姦事件まであげつらうのは、読者の日本に対する印象を悪くしようという底意から出たものでしょう。たちの悪い印象操作です。


昨日のテレビ朝日「テレビタックル」で民主党議員がこの報告書のコピーを振りかざして何か言っていました。

一部にはこの報告書が日本の立場に理解を示しているとして評価する向きがあるようですが、とんでもないことだと思います。


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テーマ:慰安婦問題 - ジャンル:政治・経済

  1. 2007/04/24(火) 14:35:02|
  2. アメリカ
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