日本の評判

世界は日本をどう見ているか。 英語と中国語のメディアから日本に関する記事をとりあげ、考えます。

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慰安婦批判と反捕鯨のつながり

前回のオオニシ記者の記事と同じ、4月1日付けのニューヨークタイムズの「日本の捕鯨への妄執」と題する社説です。
彼らが日本の捕鯨を攻撃するときの典型的な論法なのでいまさらの感はありますが。


人間は他の人間の動物種の産業的屠殺を批判するに際しては慎重であるべきだ。それは道徳的根拠を見つけるのが難しい。

世界中で一致した意見として小さくとも救いになる点があった: 鯨だ。非常に長い時間がかかったが、この素晴らしい愛想のよい哺乳類は、少なくとも絶滅させるべきではないということで世界の大部分が意見の一致を見た。
世界の大部分、しかし全部ではない。少数のはぐれ者の国が商業的、あるいは真偽の疑わしい科学的鯨狩りを続けている。特に日本だが、あらゆる正当な理由が消滅してからも長く自分の捕鯨のやり方に執着している。

日本の当局者は伝統と科学の問題だとして屠殺を正当化する。しかし、ノリミツ・オオニシがニューヨークタイムズで説明したところによると、鯨肉の日常的な消費が国民的な習慣になったのは戦後の食糧不足の時代だけだ。そのときはアメリカ占領当局が安価な蛋白源として奨励した。日本の鯨への欲求は1960年代に急落し、二度と回復しなかったとオウニシ記者は伝えた。

死んだ鯨にだけ行われうると日本が主張する調査については、その後解体されて肉として販売されるのであるが、世界中の学者がいんちきだとして退けている。

それでも、すべての海洋資源を利用しつくす権利を維持するという主張にナショナリズムが強固に結びついたようだ。:商業捕鯨の国際的モラトリアムを終わらせようというたゆみない努力、そしてアメリカのような国の独りよがりだと多くの日本人が見るものに屈服することに対する嫌気。

捕鯨に対する嫌悪はいつの日か日本で定着するかもしれない。しかしそれは日本人の中から生じる必要があるだろう。たぶん一年のうちの今の時期にハワイへ行く多くの旅行者の中から。水面から飛び上がったり子供を生んだりする心優しいザトウクジラを見て、屠殺するなどもはや想像もできないようになったときに。


鯨を絶滅させるべきではないということで世界中で意見が一致しているとこの社説は言う。確かにそうだ。日本もその点では異論はない。
日本が主張するのは、鯨の中には着実に生息数を増やしている種類もあり、そういうものなら捕獲してもかまわないではないかということなのだ。
だから、捕鯨全面禁止を叫ぶなら、全ての鯨種が絶滅の危機に瀕していることを科学的に証明しなければならないのだが、彼らはそれをしようとしない。
かわりに彼らは「鯨は素晴らしい」「カワイイ」「心優しい」「かしこい」などという情緒的な言葉を並べてヒステリックに叫ぶ。

日本には鯨に対する需要がほとんどないというが、これは順序が逆だろう。調査目的以外の捕鯨が禁止されたので流通量が減っただけだ。
また、大手の流通業者は業務への妨害を恐れて鯨肉の扱いを避けているという。鯨肉が小規模な専門店でしか手に入らないゆえんだ。
それよりも何よりも、需要がないことは捕鯨を禁止しなければならないことの理由にはならない。需要が無ければ商業捕鯨は成り立たず、自然消滅するだけだからだ。

ただ、この社説でも触れているが、捕鯨に関する国際会議に参加する日本の官僚の中には、日本が捕鯨を続けなければならない理由として日本の伝統を挙げる人がいる。これはやめたほうがよい。
人喰いの風習を持つ部族が伝統を理由に正当化を図ろうとしても何の説得力も持たないことは明らかだ。
ゆえに、日本の主張は次の2点に絞るべきだ。

○ 捕鯨が悪だという人類普遍の価値観は無い。
○ ある種の鯨は管理された捕鯨を行えば絶滅のおそれが無い。


ヒンズー教では牛は聖なる動物とされている。ヒンズー教徒にとって牛を屠殺するなどは考えられもしないことだろう。それでも彼らはヒンズー教徒以外に牛を殺すなと訴えはしない。
アメリカ人は想像してみるがよい。将来インドが他を圧倒するような政治力と経済力、情報発信力を持つようになり、それを利用して世界の囲い込みを図り、アメリカを道徳的に断罪しだしたときのことを。


それにしてもなぜニューヨークタイムズは今唐突にこんな社説を掲げたのだろう。考えるヒントになるものがある。


反捕鯨で「富と名誉」を得る人々

捕鯨禁止の起点はベトナム戦争

 1970 年代初め、アメリカはベトナム戦争という泥沼に入り込み、抜きさしならぬ状況に陥りつつあった。枯れ葉剤の大量投下と環境への壊滅的影響、反戦運動の盛り上がりと麻薬禍の拡散、脱走兵の続出等々、反米、反体制、反戦気運を何としても方向転換させる戦略を考え出す必要があった。その結果、ホワイトハウスに特別戦略諮問機関が設置され、英知を絞った末の作戦として自然保護が全面に打ち出されることとなった。そして、その象徴として鯨に照準が定められたのである。


文中の「ベトナム戦争」を「イラク戦争」に置き換えれば今の状況にぴたりと当てはまるのではなかろうか。
NYタイムズは国内的にはともかく、国外での反米気分を苦々しく思っていることは確かだろう。

最近の慰安婦問題非難決議にしても、このことが関係しているのかもしれない。

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テーマ:アメリカ合衆国 - ジャンル:政治・経済

  1. 2007/04/05(木) 18:30:50|
  2. 捕鯨問題
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