日本の評判

世界は日本をどう見ているか。 英語と中国語のメディアから日本に関する記事をとりあげ、考えます。

「のけ者にされる日本」

だいぶ時間がたってしまいましたが、5月17日のワシントン・ポストから。

米朝交渉で取り残されたと感じている日本

北朝鮮が核の野望を放棄することと引き換えに取引する方向にブッシュ政権が動いている中で、のけ者にされているのは、アジアにおけるアメリカの最も親密な同盟国である日本だ。

日本政府は、アメリカが北朝鮮と合意に達し、日本が国家利益の観点からきわめて重視している問題をないがしろにしながら、テロ支援国ならず者国家のリストからはずす可能性を甘んじて受け入れているようだ。

「核問題で取引するだけでは日本にとっての解決にはならないし、北朝鮮との国交正常化も拒否する。」 福田康夫首相は最近のワシントンポストのインビューで語った。

日本政府は北朝鮮に日本当局者によるとほとんど日本全土を攻撃できる200から300の中距離ミサイルを無力化するよう求めている。

日本政府はまた、金正日に、彼が1970年代と80年代に北朝鮮の工作員が拉致したと認めた八人の運命についての信頼できる情報を要求している。北朝鮮側は八人は亡くなったと主張するが、日本は生存していると言う。

拉致被害者は日本人の強迫観念になっていて、政治家がこの問題に不熱心だと見られることは命取りだ。

日本人のこの問題に対する感情を説明するのに、外務省の高官は最近、30年前に13歳で拉致された横田めぐみを、ソビエトのグラーグとして知られる監獄を世界に知らしめたノーベル賞作家アレクサンドル・ソルジェニーツィンにたとえた。

「核問題、日本に脅威を与えるミサイル問題、拉致問題は三点セットです。」福田はインタビューで言った。「三つのうちどれが欠けても問題を解決したことにはなりません。」

日本は北朝鮮の核計画を議題とする六カ国協議の一員だ。この一年はしかし、協議はほとんどアメリカと北朝鮮の交渉だった。

ブッシュ大統領は日本の懸念を理解しており、アメリカは北朝鮮と核問題について「不用意な」交渉はしないと信じていると福田は語った。「しかし一方で日本はまた言うまでもなく、北朝鮮との紛争解決に向けて自分でも努力しなければならない。」

福田は、今月中国の胡錦濤主席が来日したときに、拉致問題についての協力を再び依頼したと語った。

米朝間の核協議はここ数週間ペースが速まっているようだ。

5月8日、平壌で北朝鮮の高官は訪問中のアメリカ代表団に、寧辺にある主要な核施設で生産された物質についての18,000ページの文書を手渡した。

北朝鮮は六カ国協議の一環として核施設を部分的に無能力化した。そしてアメリカの核支援国リストからはずされてから24時間以内に冷却塔を破壊することに同意したと外交官は語った。

アメリカはひきかえに、北朝鮮がどれだけのプルトニウムを生産したかについての検証可能な申告をすればただちに北朝鮮に対する制裁を解除することに同意した。アメリカの交渉担当者は同時に、北朝鮮の他の核関連の情報に対する要求を緩和した。

複数の日本政府高官によれば、北朝鮮ミサイルの射程範囲に入っている日本の政府はこれらの事態が明らかになるのを見て、つまはじきにされていると感じている。「東京はワシントンに、我々は置き去りにされるべきではないという言葉を送っている」というよく聞かれる声に政府高官は同調する。

日本と合衆国の安全保障関係はことのほか親密で、5万の米兵が駐留している。戦後結ばれた条約により、合衆国は軍事攻撃の際には日本を守るよう義務付けられている。日本は在日米軍基地で働く日本人職員給料の約90%を支払っている。

日本はしかし北朝鮮のことになると、独自の政策を推し進めている。

日本は、北朝鮮からの一切の輸入を禁止し、船舶の入港を認めない貿易制裁を最近延長した。

多くの国が北朝鮮への大量の食糧援助を計画している。アメリカは50万トンを送ると金曜日に発表し、韓国は、核兵器の撤去が食糧援助の必要条件だと数ヶ月言い続けた後、今は食糧援助について北朝鮮と話し合いたいと言っている。

しかし日本政府にはそのような計画はない。亡くなった拉致被害者の遺骨を部分的に焼いたというものを北朝鮮が日本に送り返したあと、日本は2004年に北朝鮮へのすべての援助を停止した。その骨は行方不明の8人のうちの誰の遺骨でもないことがDNAテストによって証明された。日本人をだまそうとする見えすいた試みは大衆の怒りに火をつけた。

日本政府は「三点セット」が解決されるまで北朝鮮へのいかなる援助も全面的に拒否する。---1990年代に起こったような破滅的な飢餓があろうとも。

福田はインタビューで、日本の関心事を解決することが北朝鮮の財政の利益になると言った。それが解決されれば、1910年から1945年の植民地支配への賠償として日本はおそらくは100億ドルという巨額の資金とその他の経済援助を提供すると約束した。

「北朝鮮の身になって考えれば、拉致問題の解決なしに核問題を解決しても、それは好ましい状況ではありません。」と福田は言った。


読者のコメント。

「日本人はまず帝国主義者としてなしたことと、自分が危害を加えた、あるいは殺した何百万の人々に対して責任を持つべきだ。たった8人の行方について情報を乞う前に。」

いかにも臭うなあと思ったらやっぱり中国人でした。この人はほかの記事につけたコメントで「 We Chinese 」と書いています。「欧米帝国主義」と「人種差別」にも激しい敵意を持っているようです。

もうひとつ。

「ブッシュの一方的な政策が日本の利益を置き去りにした。日本は怒るべきだ。北朝鮮は日本に距離の近い隣国なのだから。」

この意見に同感です。
アメリカは北朝鮮がすでに製造した核爆弾について不問にしたまま、北朝鮮との取引を急いでいます。北朝鮮はアメリカにまでとどくミサイルを持っていないので、それでもいいのでしょうが、日本は北朝鮮ミサイルの射程範囲にあるのです。

日本が毅然とした態度を示さないから、「日本はどうせ何もできないだろう」と米中が高をくくって北朝鮮を暴走させてしまうのです。日本政府は核の保有を真剣に検討するべきでしょう。北朝鮮の核に対処する方法はそれしかありません。

アメリカはまだ北朝鮮のテロ支援国家指定を解除していませんが、それをえさとする交渉を拉致問題の解決を条件とせずに北朝鮮とすること自体、拉致問題を重視する日本に対する裏切り行為です。他国の領土に侵入して人を有無を言わせず暴力を用いて連れ去る行為をテロといわずして何というのか。北朝鮮は「テロ支援国家」ではなくて「テロ国家」です。

核開発の有無が定かではないイランには制裁を課し、核保有を宣言した北朝鮮とは交渉に応ずる、アメリカ政府の政策はどこまで無原則なのかといいたくなります。

ところで、記事は日本が仲間はずれにされていると書いていますが、もうひとつ、焦りをている国があるとしたら、それは中国でしょう。

中国は一貫して北朝鮮を米韓敵対勢力への緩衝地帯として活用してきました。狂犬キムジョンイルを飼いならすために食料や原油を与え続けてきました。北朝鮮独裁政権の人権弾圧が苛烈であればあるほど欧米諸国との関係が疎遠になり、数少ない友好国として中国に頼らざるを得なくなる、そのような状況を自国の対外戦略に利用してきました。ちょうどビルマと同じような関係です。

それが今、金正日とのチキンレースに負けたブッシュ政権が、日ごろ声高に叫んでいる原理原則をかなぐり捨てようというのです。

北朝鮮は旧満州の大工業地帯とは地続きで、北京にもきわめて近い距離にあります。その北朝鮮が核武装したアメリカの友好国になる、これは中国にとって大きな脅威でしょう。最近なにかと日本に猫なで声で擦り寄ってくるように見えるのも、そのことと関係しているのかもしれません。

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  1. 2008/06/07(土) 22:16:55|
  2. アメリカ
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米議会調査局報告書の欺瞞

「終戦直後の日本国内で占領米軍の命令により売春施設が多数開かれたことが米側にいまになって伝えられた。」という記事を読んでネットで検索すると、意外なものに突き当たりました。

Yuki Tanaka,
Japan's Comfort Women:
Sexual Slavery and Prostitution
During World War II and the US Occupation

「日本の慰安婦  第二次大戦中とアメリカ占領期における性奴隷制度と売春」という本についての書評です。

これはアメリカ議会調査局報告書で触れられていた本に違いありません。
「慰安婦問題」米議会調査局報告書  でとりあげました。)

報告書の次の部分です。次の部分です。

田中ユキが「日本の慰安婦」で引用した400以上の証言のうち、200人近くの女性が日本軍、憲兵または軍の代理人によって暴力的に捕らえられたと述べている。そのことは特にフィリピン、中国、オランダの女性について言える。


ですから私はこの本が日本軍の犯罪性を並べ立てただけの一方的な日本批判本だとばかり思っていたのですが、それがどうやら違うようなのです。

書評によると、この本のはじめのほうの章では、日本の軍、政府、業者が結託して慰安所を創設した過程を描写して、それが人道に対する罪であると述べています。
そして連合国が東京裁判で「慰安婦システム」に関して関係者を訴追しなかった理由として、慰安婦の大部分が「アジア人」であったことがあるとしています。

そしてもう一つ大きな理由があるとしているのですが、そこは引用でいきます。

<>内は小生がつけた注釈です。


しかし田中の主な論点は連合国自身の「性イデオロギー」である。
すなわち、戦前の非西洋人女性に対する扱い、戦時中に<連合国の>軍が売春を管理したことと、日本占領中に連合国軍人のために<日本軍と>同様の「慰安」システムの創設を共謀したことを隠蔽しようとし実際に隠蔽したことだ。
これらが連合軍が<慰安婦に対する罪で日本人個人を>訴追できなかった決定的な要因だというのだ。

蘭領東インドについては、たとえば、オランダ人が植民地支配の過程で大量のインドネシア人女性を性的に搾取したと田中は述べている。オランダ人はインドネシア人女性とインドネシア‐オランダ混血女性に対する性的虐待は重大な犯罪だとみなさなかった。

戦争中だけでも、(連合国は)連合国の「性イデオロギー」と<日本の>慰安婦システムの犯罪性を区別することが完全に不可能だったことを田中は明らかにする。

ピューリッツァー賞を受賞した日本史学者のジョン・ダウアーは、この本の巻末で、「衝撃的で論争を呼ぶ新しい方向の分析」だと述べている。

田中は調査の大部分をアメリカ、イギリス、オーストラリアの軍の活動に充てている。
彼は、アメリカが性病管理に関して日本軍と同じ問題で頭を悩ませたことを示す、合衆国公文書館で得た証拠を提示した。

たとえば、アメリカ軍の監察長官は性病の蔓延を防ぐために「管理された施設... 他国がやったような」の創設を推奨している。
結局、アメリカ軍はこのタイプの軍事売春宿を奨励しなかった。そして、実際に兵士に売春婦のところへ行くことを許可しない政策をとった。

しかし、中央アフリカ、中東、インド、カリブ海地域で一部の現地司令官はこの政策に反して売春施設を指定し、「安全」のために住民の女性の性病検査をした。
たとえばリビアでは、兵士たちは性病に感染していないことを証明する公的な鑑札を持たない「女性村」の女性とは一切関係しないよう命じられた。

田中はこの事実に対する証明として、性病予防具<コンドーム>を兵士に供給することによってアメリカ軍が組織的な売春を「制度的に支援した」と述べている。‐‐たとえば、米軍医療部隊のある将校は、コンドームの必要量を一人の兵士が一ヶ月に4個、予算の支出が年間3千4百万ドルと見積もっている。

一方、オーストラリアは中東で軍が管理する売春宿を公然と手配し、女将を選び、しかるべき女性に医療検査を施した。
田中は、新たに設立されたトリポリ売春宿についてのオーストラリア軍公式報告書を引用して、その描写が「慰安所」の状況に酷似していると述べている。

女性たちはプロの売春婦だったが、国際法違反(どの点で慣習国際法違反であるであるか彼は明らかにしないが)であることに変わりはないと彼は主張する。
ある場合はオーストラリア軍に16歳の少女が認められ売春婦として雇用された。

全般的にこの章で彼が言いたいのは、連合国軍の売春への関与は日本人が実行した「慰安」婦システムと同じだということであり、そしてこのことによって連合国の立場が弱くなり、「慰安」婦システムを犯罪行為だとみなすことができなくなったということだ。


連合国の「性イデオロギー」と、「慰安」婦システムを犯罪とみなすことができなかったことをさらに関連付けるために、田中は、連合国占領軍の兵士が日本女性に対して犯した性暴力の問題を提起している。

彼は「連合軍兵士による大量強姦」の証拠になる文書がないことを認めるが、この時期に日本女性への強姦と襲撃があったという信頼に足る口頭の証言を指摘している。
たとえばある場合には、1945年8月30日の占領開始から9月半ばまでほとんど毎日のように連合国兵士による強姦事件が報告されたという神奈川県警の報告書を引いている。
実際、アメリカ第8軍司令官 R. L.アイチェルバーガー将軍は、ダグラス・マッカーサーと最初に会ったときの用件は日本の降伏についてではなく、海兵隊員による強姦だったと日記に書いた。

そのような惨劇は日本人の間で広く恐れられた。それは、大量強姦は不道徳な「野蛮人」の常だという戦時プロパガンダに洗脳された民衆だけではなく、指導的な政治家と官僚もそうだ。

占領開始の前から、プロの売春婦と募集に応じた「志願者」からなる「慰安婦」システムに非常に似たものが連合軍兵士のために日本に創設された。

連合国がそのような「慰安婦」システムを当てにした‐‐要求したのではないにしても‐‐という事実により、日本人を「慰安婦」システムのかどで訴追しないことが連合国にとって政治的に都合が良くなったということを田中は示そうとする。

田中はこのように日本と連合国を同列に論じているが、「連合軍兵士が戦後すぐに犯した同じような犯罪を挙げることで、日本人が戦時中に犯した罪を軽減しようとか正当化しようというつもりはない」と強調する。

(中略)

田中は書く。
「占領に参加した連合軍は、一般の兵士からGHQの公共衛生福祉部門の職員、連合軍の最高司令官その人まで、すべてが、多くの日本女性が経験した苦難の責任を負うべきだ。」

(後略)


評者は、田中が日本軍と連合軍を「性イデオロギー」の面で同一視しているとし、それに必ずしも賛成ではないようですが、そのことは脇においておきましょう。
ここで重要なのは、この本の主要な論点が次のようなものであることです。

1、連合国の軍隊も慰安所の運営にかかわった事実があり、それは国際法違反である。
2、占領軍は日本女性が経験した苦難の責任を負うべきだ。

最初にも述べましたが、この本はアメリカ議会調査局報告書で日本軍の「慰安婦システム」への関わりを示す根拠の一つとして使われています。

報告書はしかし、田中の同書での上述のような主張についてはまったく触れていません。
つまりこの報告書は、日本軍と連合軍の行為をともに取り上げどちらにも責任があると論じる本から、日本政府に謝罪を求めるという自己の目的に沿った部分だけを抜き出し利用しているのです。田中氏の主張の核心部分を読者から隠したままで。

読者から隠しているのはそれだけではありません。
この報告書は、根拠にした資料を箇条書きで詳しく紹介しており、同書については次のように記しています。


朝鮮、中国、台湾、フィリピン、インドネシア、オランダからの数百人の女性の証言。これらの多くは、2002年に出版されたユキ・タナカの「日本の慰安婦」に記述されている。同書は400人以上の女性の証言に触れている。


最初に掲げたように、この「日本の慰安婦」という本には「第二次大戦中とアメリカ占領期における性奴隷と売春」という副題がつけられているのに、それを省いてしまっているんです。
アメリカをはじめとする連合国の責任について一切読者に考えさせまいとするラリー・ニクシュ(この報告書の筆者)の意図がありありと読み取れるところです。

ニクシュのこのやり方はこれに限ったことではありません。 「慰安婦問題」米議会調査局報告書  で指摘したように、ビルマでの朝鮮人元慰安婦への聞き取り調査報告書に関しても同じことをやっています。

ニクシュは、もし自分の誠意を疑われたくないのなら、少なくとも根拠にする資料がそもそもどのような性格のものなのかを嘘偽りなく明らかにしておくべきでしょう。
そして、その資料に自分が主張したいこととは逆の、または相容れない内容が含まれていたら、そのことにもきちんと触れておくべきでしょう。

この報告書は、ひとつの資料の中での引用箇所が恣意的であると同時に、資料の選択そのものに非常に偏りがあります。
日本では報告書で提示されている「事実」を否定するような内容の書籍が多数出版されていますが、それらを一切取り上げようとしません。

少なくとも中立的な立場に立った報告書を標榜するなら、あらゆる方面からの資料を提示し、それらを比較検討すべきでしょう。何らかの結論を導き出すのはその後にすべきです。
それをしようとしないのでは、この文書はもはや公正な報告書とは言えません。ただの一方的なプロパガンダです。

アメリカ議会はこんなものに基づいて議論しようというのですから、何をか言わんやです。


産経新聞から。


AP通信の4日の報道によると、終戦直後の1945年9月、日本当局が占領米軍からの命令で東京都内などに多数の米軍用の売春施設を開き、合計数万人の日本人「慰安婦」が雇用、あるいは徴用されたことを証する日本側書類が明るみに出て、ホンダ議員は米軍用慰安婦に関して米軍自体がどんな役割を果たしたかなどの調査を議会調査局に依頼したという。

 同議員は自らが追及している戦時中の日本軍用の慰安婦と戦後の米軍用の慰安婦の比較について「日本軍の慰安婦は日本帝国軍隊の政策として性的奴隷という目的のために少女や女性を拘束し、強制し、拉致したのだから、米軍のそれとは異なる」と語った。


AP通信の記事には米軍の「命令」があったとは書いてありませんが、米軍用の売春施設が開かれていたことは目新しいことでも何でもありません。ホンダ議員はそんなことさえ知らずにこの問題に関わっていたのだとしたら驚きです。
調査すべきはむしろこちらでしょう。

「日本軍の慰安婦は日本帝国軍隊の政策として性的奴隷という目的のために少女や女性を拘束し、強制し、拉致した」

まあ調査をするのがラリー・ニクシュだとしたら、公正な調査などはなから期待できませんが。

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  1. 2007/05/11(金) 16:09:29|
  2. アメリカ
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「慰安婦問題」米議会調査局報告書  

さて、いつものことながら反応の遅い当ブログです。出し遅れの証文の観はありますが、数日前から書き始めていた記事を完成させてアップします。

慰安婦問題に関してアメリカの議会調査局が報告書を出したことはご存知の方も多いと思います。
それについて、産経新聞と朝鮮日報など韓国メディアそれに日本の赤旗の報道では、受ける印象が正反対なんです。

産経      「組織的強制徴用なし」 慰安婦問題 米議会調査局が報告書  4月12日付 
朝鮮日報   慰安婦:「日本政府・軍の強制動員関与、証拠は明白」  4月10日付
赤旗      全段階で日本軍が関与   4月13日付

(三紙の記事は末尾の「続きを読む」に転載します。)

実際の報告書ではどうなっているのか、読んでみました。

日本軍の「慰安婦」システム 

報告書は、今年になってからの安倍首相をはじめとする政府、自民党関係者の発言が、河野談話を継承するという立場と矛盾すると述べた後、次のように書きます。

以下、一部分を和訳しますが、それでも長たらしいので忙しい方はとばしてもらってもかまいません。後の結論部分を読んでからさかのぼって斜め読みしてください。


 (1)慰安婦システム創設における日本軍と政府の関与の度合い。:

日本政府と軍が直接慰安婦システムを創設した証拠は明白だ。1992年−1993年の日本政府の報告は、処々の軍官が処々において慰安所設置の過程を主導したことを見いだした。軍はまた慰安所の装備に手を貸し、運営のための規則を定めた。朱徳蘭が発見した台湾の文書は、日本の台湾植民地政府による日本の中国侵略を支えるための台湾拓殖株式会社設立について述べている。1937年までに植民地政府は、台湾拓殖株式会社に台湾人慰安婦の募集と中国海南島への移送を指示した。海南では日本軍は62の慰安所建設を含む台湾拓殖株式会社のすべての活動を監督した。

吉見文書は、中国の日本軍部隊が1937年の日本の中国侵略に続いて中国北部と中部に慰安所設置を開始したことを証明した。
そのうちの一つ、北支派遣軍参謀長による文書は、管轄下の部隊に、「できる限り速やかに性的慰安のための施設を整えることはきわめて重要である」と指示した。

1992年の韓国政府報告書は、朝鮮駐留日本軍による慰安婦施設設置のための同様の命令を引用している。

(2)日本軍が慰安婦の徴募と移送、および女性たちが日本兵にセックスを提供した「慰安所」の管理に関与したか否か。

システム運営(女性の徴募、女性の移送、慰安所の運営)におけるすべての段階で日本軍の関与があったことを証拠が物語る。

軍と日本の植民地政府が慰安婦を集めるためにしばしば台湾拓殖会社のような民間会社と契約していたことが証拠からわかる。

アメリカの軍人がビルマのミッチーナで朝鮮人慰安婦から聴取したところによると、彼女たちは募集のときに日本軍の統制に服することを規定した契約書にサインしたという。

吉見文書の一つ、1938年3月4日付のものは、「軍慰安所に配置する女性の徴募について」と題して、日本の陸軍省から北支派遣軍へ出されたものだ。陸軍省は次のような指示をした。「派遣軍は徴募を監督すること。そして委託業者を慎重かつ適切に選考すること。実施においては当該地域の憲兵と警察当局が緊密に連携することとし、軍の威厳を保ち社会問題を避けるために細心の注意を払うこと。」

特に注目すべきは、当時の陸軍次官梅津美治郎中将が文書に署名していることだ。梅津は後に参謀総長および第二次大戦中の戦時内閣の一員になった。彼は1945年9月2日戦艦ミズーリ上で降伏文書に署名した。

ほかの吉見文書は、中国北部で日本軍が設置し当地の日本軍司令部が監督する慰安所について記している。

多くの場所で慰安所は、ときには「ハウスマスター(舎監)」と呼ばれる民間人が経営していたことを証拠は示している。
しかし、その地の軍司令部が慰安所運営のための詳細な規則を定めていた。それには営業時間や、将校と下士官が別の時間に慰安所に行くこと、憲兵の配置、医学検査と治療についてが含まれる。

ミッチーナでのアメリカ軍人の聞き取り調査のときに朝鮮女性がこれらの規則について述べている。

(3)女性たちが慰安婦にされ慰安婦として務めたのは自分の意思か否か。

これは女性の募集の際のやり方と慰安所での女性の地位がかかわっている。安倍首相の声明と下院決議121〔慰安婦非難決議〕はこの問題を表現するのに「強制」という言葉を使った。アメリカン・カレッジ・ディクショナリーは、「強制する」、「強制」を「暴力的な行動によって無理強いすること」、「暴力的な圧迫」と定義している。

田中ユキが「日本の慰安婦」で引用した400以上の証言のうち、200人近くの女性が日本軍、憲兵または軍の代理人によって暴力的に捕らえられたと述べている。そのことは特にフィリピン、中国、オランダの女性について言える。

1993年の日本政府報告の結論の要約は、「募集人は、女性を意思に反して募集に応じさせるために多くの場合甘言と脅迫を使った。」と述べている。伝えられるところによると、報告書それ自体、「業者が軍に要求されて甘い言葉と強制で女性を引っ張った」と述べた。

フィリピンと中国の女性の証言、それに日本軍の文書も中国とフィリピンで強姦が蔓延したと述べている。上記の北支派遣軍参謀長が発した命令は、「多くの場所での日本軍将兵による強姦の多発」について触れている。強姦は明らかに、1943−44年の日本軍と中国軍及び大規模なフィリピンゲリラとの烈しい戦闘のあった地域で多数発生した。伝えられるところによると、その地の日本軍部隊は地元の中国人やフィリピン人少女を拉致し、何週間も何ヶ月も拘束し、繰り返し強姦した。

オランダ政府も、1942年の日本の蘭領東インド侵略の直後に日本兵に強姦されたと訴える多数のオランダ人女性の証言を記録している。

強制的徴募がオランダ政府の戦争犯罪裁判で罪に問われ記録されている。それはオランダ国立公文書館の文書 AS5200 と1994年の「日本占領中蘭領東インドにおけるオランダ女性強制売春についてのオランダ政府文書の研究」のオランダ政府報告に記録されている。

これらの訴訟と報告は、軍の監督の下、日本軍がオランダ女性を収容所から(ときには収容者の抵抗に遭いながら)強制的に移送し、慰安婦を務めることを強いた例が多かったことを記録している。

多数の日本軍将校がオランダ戦犯裁判所によってオランダ女性に対する犯罪について断罪された。訴訟と報告はまた、ユーラシアン(欧亜混血)とインドネシア女性の強制徴募も記録している。

詐術が軍と軍の契約者、仲介業者の常套手段であったことを証拠が示している。

ミッチーナで朝鮮女性が米軍の面接者に語ったところによれば、募集人はビルマにいる朝鮮人女性に、シンガポールの病院で負傷した日本兵の世話をすることになると言った。

中国昆明にいた朝鮮人女性の証言によれば、300人の朝鮮人慰安婦は、朝鮮の少女にシンガポールの日系工場での雇用を謳う朝鮮の新聞の広告に応募した。

昆明からのOSS報告は、「23人の女性すべてが明らかに強制と虚言によって慰安婦」になったと結論づけている。

他の多くの元慰安婦も、募集人の詐術を語っている。

韓国外務省の報告は、多くの場合日本人と契約募集人の詐術があったことを引用している。

アメリカ戦争情報局も、1941年12月7日の日本の真珠湾攻撃まで在韓国アメリカ人宣教師だったホーレス・H・アンダーウッドの報告を出版した。彼は日本人が「さまざまな方法で大勢の韓国人少女を満州と中国の売春宿に送った。そしてこれが韓国人の憎しみをかき立てる要因になっている。」と述べている。

募集人はまた、日本認可の金融機関に深刻な負債を抱えた少女の家族に向けて明かな甘言と脅迫を組み合わせて用いた。ミッチーナで証言した女性たちは、病院で働くことを志願すれば家族の負債を完済する道が開けると募集人に言われたと証言した。

田中由紀の本に引用されている多くの女性の証言には、募集人が同じような詐欺的手法を使ったとは書かれていない。

ミッチーナの朝鮮人女性などの証言では、女性たちは慰安所に到着してからは日本軍が彼女たちを解放して家に帰ることを許可するまでそこで勤めた。

日本軍は1943年にミッチーナの朝鮮人女性を何人か解放したが、多くは第二次大戦中は慰安所にいたことが多くの証言が示している。

日本軍が朝鮮人女性が韓国へ帰ることを許さなかったために、彼らが危険を冒して日中の戦線を越えて脱走することを選んだことを彼らの話が示している。


慰安婦徴募の際の強制をめぐる2007年の議論は、女性たちが自分の意思で慰安婦になったか否かという、より広い問題を覆い隠してしまう。

入手可能な証拠から、ほとんどの女性が意思に反して慰安婦になったということは疑う余地が無い。意思に反してということを詐欺的な募集に応じてというふうに定義すれば。
このシステムには真の自発的な性質などほとんど無かったように思われる。


このように読んでくれば、この報告書の言わんとするところを比較的忠実に要約しているのは赤旗と朝鮮日報の方だと誰もが考えるのではないでしょうか。産経の古森記者の記事は正確さを欠いていると私には思われます。もっとも、彼も本文では報告書の言う「軍の役割」についても触れてはいるんですが。

朝鮮日報のほうも、韓国人が関心を持つであろう韓国政府の対応について一言も触れていない点でこれはこれで問題があると思います、そのことはいずれまた。

それよりも何よりも私が問題があると思うのは、この報告書自体です。

この議会調査局報告書は、「慰安婦システム」に日本軍が直接関与していたことの証拠として、アメリカ戦争情報局が戦時中の1944年に出した報告にある証言を引用しています。

こちらで読めます。
Report No. 49: Japanese POW Interrogation on Prostitution.(英語)
米軍公文書での慰安婦UNITED STATES OFFICE OF WAR INFORMATION APO689 (英語と日本語)

下院決議案が日本政府に謝罪を求める理由とされているのは、「日本帝国軍隊が慰安婦として性的奴隷を若い女性に強制したこと」(赤旗紙の訳による)です。そして「強制」があったことを証明する重要な根拠の一つとして挙げられているのが前記の戦争情報局報告書であるわけです。

ところが、この戦争情報局報告の前文には、「『慰安婦』とは、売春婦にすぎない。もしくは『野営追随プロ』、軍人の利益の為日本陸軍に付属する。」と書かれているんです。ここには他にも、彼女たちが比較的贅沢に生活していたこと、町に出て買い物をする自由があったこと、相当額の収入を得ていたこと、客を拒否する権利があったこと、債務を返済し終わって朝鮮に帰国した者もいたことなどが記されています。

総じてこの戦争情報局報告から受ける印象は「性的奴隷」などという言葉からは程遠いものです。日本軍に対する非難めいた響きはほとんどありません。議会調査局報告はそれらを一切無視し、「軍の関与の有無」と「徴募の方法」の2点に絞って問題設定をし、日本非難の根拠にしているのです。

戦争情報局報告からは確かに軍の関与が読み取れますし、徴募の際に虚偽の説明がなされたことも記されています。それらは今日の基準に照らして言えばもちろんあってはならないことですし、犯罪行為でありましょう。しかし、そのようなことは公娼制度が存在した日本国内でもあったでしょうし、当時の世界を見渡してみても珍しいことではなかったのではないでしょうか。

「中華民国の軍中楽園は、蒋介石が当時米軍顧問団の建議を受け入れ、軍人の孤独感を癒し、戦力および社会治安に対する影響を避けるために設けられた制度だ。 」

台湾の慰安婦問題 で引用した文章です。ここかわかるのは、アメリカ軍は第二次大戦後でさえ軍が慰安所の運営にかかわることを罪悪視していなかったことです。蒋介石に軍中楽園の設置を建議したときに彼らの念頭にあったのは日本軍の慰安所だったのではないでしょうか。

アメリカ人は、五六十年前には大して問題にもせず、自らも蒋介石に建議したことを、今になって日本政府を断罪する材料にしようというのです。決議案の異常さがわかろうというものです。同じ基準を適用するなら、アメリカ政府と中華民国政府をも非難の対象にすべきでしょう。

議会調査局報告はまた日本軍がオランダ女性に強制的に売春させたと述べていますが、これは軍中枢からの指示ではなく、現地指揮官の独断の行為であり、責任者はすでに処罰されています。

中国やフィリピンで強姦が多発したことも挙げていますが、それはこの報告書が言うところの「日本軍が組織的に関与した慰安婦システム」の埒外にあることです。数十年前の軍事行動において兵士の強姦が多発したことをもって現在の政府が謝罪しなければならないのなら、アメリカ政府は日本人に謝罪しなければなりません。日本を占領した米軍の兵士による強姦事件が多数発生したことは周知の事実ですから。

「慰安婦システム」の実態を明らかにすることを目的とした報告書において、それとは無関係の強姦事件まであげつらうのは、読者の日本に対する印象を悪くしようという底意から出たものでしょう。たちの悪い印象操作です。


昨日のテレビ朝日「テレビタックル」で民主党議員がこの報告書のコピーを振りかざして何か言っていました。

一部にはこの報告書が日本の立場に理解を示しているとして評価する向きがあるようですが、とんでもないことだと思います。


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テーマ:慰安婦問題 - ジャンル:政治・経済

  1. 2007/04/24(火) 14:35:02|
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金正日と「ヒロヒト」

もうこれはパブロフの犬ですね。自分たちが理解できない異人種の敵が現れると、日本を思い出す。
関連記事:9.11と「パールハーバー」と無差別都市爆撃

ニューヨークタイムズが 金正日の自殺を警戒 という記事を掲載しています。

筆者は韓国の釜山にある東西大学という新設大学で教授をやっているB.R.マイヤーズという人アメリカ人です。アフリカーンス語、英語、ドイツ語、朝鮮語、北京語、ロシア語ができるそうです。


月曜日の核実験から数時間後、ブッシュ大統領は北朝鮮に厳しい警告を発した−しかしそれは他国や非国家実体に核技術を移転させることに対してだけだった。したがって大統領の宣言は、金正日は核を売ろうとは試みるかもしれないが、自分で使おうとは夢にも見ないだろうという確信でワシントンが一致していることを反映している。なぜ? ドナルド・グレッグ前国家安全保障問題担当顧問が月曜日に説明した:「あわてるな。金正日の目的は生き残りであって自殺ではない。」

同じ気休めの理屈はイランのアフマディネジャドに適用されるが、もちろん同じではない。金氏の心理の長期的な分析は、彼はイスラム原理主義者ではない、気違いじみた行動をとりそうもないからということの遠まわしの表現だ。

しかしこの種の文化プロファイリングによって我々は本当の危険に気づく。第二次大戦中の日本の天皇ヒロヒトは宗教的でも自殺志向でもなかったが、理性的な指導者なら勝利を見込めない戦争に国を導いた。この点は重要だ。なぜなら、ジャーナリストは北朝鮮をスターリン主義国家と呼ぶことに固執するが、その世界観はファシスト日本に遥かに近いからだ。

1930年代の日本人のように、北朝鮮は自らの人種の起源を数千年前のひとつの祖先に求め、この純粋な血統により自分たちは比類なく高潔なのだと主張している。この国のマスゲーム−10万人以上が演じる政府振り付けによる見世物−は外国の記者たちにしばしばスターリン主義の実演だと誤解される。実際にはそれは民族的均質性への祝賀なのだ。2005年、「世界で我々ほど純粋で高潔な人民はいない。」と「千里馬」雑誌は読者に思い起こさせた。

国家プロパガンダで金正日はしばしば、かつてのヒロヒトがそうであったように、白馬や雪を頂いた山頂など、人種的純粋性の象徴のイメージと結び付けられる。一方南朝鮮は他人種と緊密な接触を持ちすぎて汚染されたとみなされる。最近の南北の軍高官たちの会合で、北の代表団の指導者は南が人種間の婚姻を許容していると非難した。「漢江には一滴のインクも落とすことを許されてはならない。」

もちろん、北朝鮮の人種理論は日本のファシストのそれと同じで国際法には無頓着だ。比類ないほど高潔な人々は、敵であれ味方であれ、道徳的に劣った者たちに従う理由はない。中国は何十年も軍事的経済的に援助してきたが、北朝鮮からは善意のかけらも引き出せないことを今さとった。

それは韓国も同じで、いくら現金を与えようと、北朝鮮は韓国の民族的反逆をののしるだろう。友好と和解の姿勢へのこの徹底的な鈍感さは、北朝鮮とアメリカの関係正常化の見通しを明らかに示す。

北の政権は今のところ人種プロパガンダを国内の観客向けに限定している。なぜなら、北朝鮮は世界にスターリン主義国家だと誤解され続けることを望んでいるからだ。このように我々は、1980年代によく機能した共産主義者との信頼醸成のための対話のようなものに望みをつないでいるが、それは半世紀前に純粋人種の群れとの間で散々な失敗を喫した。

北朝鮮は多数の人を殺せるが、帝国日本ほどの脅威を世界に与えるのではないし、帝国を築くことに興味を示してもいない。それでもやはり、少なくとも彼らが武器を使わないと決めてかかることをやめなければならないほど、彼らの世界観は不合理だ。

金自身は自殺志向ではないが、その性質を国民に奨励するというヒロヒトと同じ性向がある:「死んで国をまもれ」はますます一般的なスローガンになっている。2003年、太いミサイルが飛んでいる図のカラフルなポスターが外国の報道機関にばら撒かれた。そこには自殺の心構えと受け取れるスローガンがあった。「よく見ていろよ、ヤンキー。」それは悪くないアドバイスだ。


B.R.マイヤーズという人は北朝鮮とナチスと戦前の日本を混同しています。日本は国として人種の純粋性を誇ったことも、それを守ろうとしたこともありません。戦前の台湾や朝鮮でも「内地人」と台湾人や朝鮮人との婚姻は奨励されていました。

あるいは皇統の万世一系と日本人種の純粋性ということの違いがわかっていないんですね。

この人の日本に対する無知は、金正日と昭和天皇を同じような独裁者だとみなしていることにも表れています。

彼は、敵ではあっても「共産主義者」(ソ連を指す)とは対話ができたと言います。話が通じないのは同じような「純粋人種の群れ」である北朝鮮と日本。

彼は、北朝鮮と日本の「レイシズム」を非難しているように見えますが、その下に透けて見えるのが彼自身のレイシズムです。

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  1. 2006/10/21(土) 08:12:44|
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中国の利益になるよう行動するニューヨークタイムズ

日本の歴史問題--ワシントンポスト のアイケンベリー論文に対する反論がインターナショナル・ヘラルド・トリビューン(IHT)紙に掲載されました。在米大使館の北野充公使による和解は相互通行 です。こちらに解説と要約があります。そこから一部訳文を拝借しました。ここでは全文掲載。


日本の小泉純一郎首相が離任するが、彼の時代の記録は明らかだ。−経済成長への劇的な転換と、テロとの戦いにおける欧米との緊密な協調、彼の業績は国際社会から公正に称えられている。

不幸なことに、小泉の退任は“日本の歴史問題”を証明する新たな機会を批判者に提供した。第二次大戦から60年以上たって日本は中国韓国との関係を保てないという批判である。

この見解は最近プリンストン大学のG・ジョン・アイケンベリーによって表明された。彼はワシントンポストで「日本は軍国主義の過去について中国と韓国に依然として残る疑念と不満を解消できていない」と主張した。

これは一方が満足できなければ他方は間違っているとする、誤解にもとづいた観点だ。つまり、中国と韓国が苦情を言う限り、日本が悪い。

解釈の行き違いは、たとえそれが60年以上前の過去を利用することであっても、日本を守勢に立たせることで一部の国の地勢学的利益になりうる。

次に挙げるのは、“日本の歴史問題”に関する誤解とその背後にある真実である。

小泉首相の靖国参拝は、日本が軍国主義の歴史をあきらめていないことを示す。

日本が第二次大戦中に被害を与えた側であることは疑問の余地がない。しかし、日本が過去について何度も何度も悔恨と謝罪を表明してきたのも事実だ。それ以来、戦争は民主主義と人権の大切さを強調する方向で作用してきた。

靖国神社については、参拝の目的は日本の軍国主義や神社に祀られたA級戦犯を美化することではなく、二度と戦争を起こさないという誓いを新たにするためだと首相は繰り返し表明している。

その上、日本人自身も神社参拝についての意見は広く分かれている。民主主義が日本で完全に機能していることの証左だ。

ドイツは第二次大戦にきちんとけりをつけたが、日本はつけていない。

ドイツを近隣諸国との信頼構築の手本とするのは、中国が興隆し、台湾と北朝鮮にかかわる問題がある東アジアに特有の課題を無視している。

ドイツの西欧との統合は、ソ連からの脅威という共通の認識と近隣諸国と価値観を同じくするという後押しを受けたのに対し、東アジアは地政学的にばらばらだ。

近隣諸国との問題を解決することは、誰が隣人であるかに大きく依存している。たとえば、共産党支配下の中国のメディア環境は、日本の真の姿を浮かび上がらせることを妨げ、相互理解への主要な障害になる日本への敵対感情を醸成している。

日米同盟は地域の対立を激化させるのでこれ以上拡大すべきではない。

数十年の間、日本とアメリカは普遍的価値と相互の利益にもとづいて、アジア太平洋の平和、安定、繁栄を達成するために協力してきた。共通の目標は中国が国際社会で責任ある建設的な役割を果たすよう促すこと、台湾問題の平和的解決を促すこと、北朝鮮に関する問題を解決することだ。

もちろん、日本は多くの分野で近隣諸国との建設的な関係を発展させるために努力すべきだ。しかし、地域安全保障構築に果たす日米同盟のすでに証明された価値を無視して、日本の隣人の気分を害さないために同盟の将来を再考するのはばかげている。

われわれは歴史と真摯に向き合わなければならない。しかし、歴史は現在や未来に影響力を及ぼすために利用されるべきではない。

日本は歴史と和解することを切望している。日本は、口頭でも文書でも、数多くの機会に戦争時の行為について謝罪してきた。そして日本の第二次大戦以後60年の歴史はその例証だ。歴史の和解では、一方が謝罪すれば他方はその謝罪を受け入れなければならない。一方的な行動ではないのだ。


しかし、ワシントンポストへの反論がなんでIHTなんですかね。WPはまた反論掲載を拒否したんでしょうか。IHTはニューヨーク・タイムズが出している新聞で、普段はWP以上に日本に対して辛辣なんですけど。

そのNYTですが、またいつもの調子で社説を書いています。短いです。安倍晋三のアジアの課題


日本の新首相安倍晋三が前任者小泉純一郎と同じほどの人気を得たいのなら、同じように、失敗した過去の政策を捨てる必要がある。それは明らかに、ひどく傷つけられた対中関係を再構築することから始まる。

日本の繁栄と安全保障にとって巨大な隣国との正常な関係ほど重要なことはない。醜いがだんだん遠くなる、日本の侵略と戦争犯罪の歴史が障害になっている。小泉政権の最大の過ちはこの歴史を意図して美化したことで、官僚の腐敗や政治的抑圧から国民の目をそらすために、ナショナリズムをしばしば利用する中国の指導者の利益になるように行動したことだ。

安倍はこの破壊的な力学から日本を解放する必要がある。第一歩は、戦犯の霊が祀られている靖国神社参拝という挑発的な慣行をやめると宣言することであるべきだ。この神社論争と、日本の教科書が戦争中の日本軍の行動に誠実に対処しないことが、日本が現代の軍事問題を扱うことを困難にしている。今持ち上がっている、第二次大戦後にアメリカが押し付けた平和主義憲法を改正する議論のような問題だ。日本がこのような変革をしてはならないという理由はない。しかし歴史と隣国に真摯に向き合うことをしなければ、他のアジア諸国に悪く受け止められるだろう。

ますます活気のある民主主義、復活した経済、小泉が始め、安倍が今さらに推し進める必要がある経済改革など、日本が誇るべきことはたくさんある。歴史の暗黒と恐ろしい逸脱に最も責任のある戦争犯罪者を美化する必要はない。


IHTの北野公使の反論が22日付で、このNYTの社説が27日付ですから、社説の筆者はIHTを読んで考える時間が十分にあったはずなのに、どうしてまた馬鹿の一つ覚えを繰り返すんでしょうか。社説で非難していることには、北野公使がすでに反論しています。NYTは最低限IHTの北野論文を踏まえたうえで、それに対する反論という形をとるべきでした。同じ系列なんだし。

そのNYTの社説をIHTがまた転載しているんですから、チグハグというか無責任というか。

「日本の繁栄と安全保障にとって巨大な隣国との正常な関係ほど重要なことはない。」
これなどは 安倍晋三がタカ派? で述べた、中国の要求に強制力を持たせようと躍起になっているマスコミの典型的な文句です。社説は「小泉首相は中国の指導者の利益になるように行動した」と書きましたが、中国の利益になるように行動しているのは、まさにニューヨークタイムズです。

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  1. 2006/09/30(土) 01:04:23|
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